葬儀の喪主|決め方・役割・場面別の挨拶文例と忌み言葉までお坊さんが解説
「葬儀の喪主は、誰が務めればいいのでしょうか」
——身内が亡くなったとき、ご家族から真っ先に届くご質問のひとつです。
喪主(もしゅ)とは、ご遺族を代表して故人をお見送りし、葬儀全体を取り仕切る役割を担う方のことです。
ところが、近年は配偶者がすでに亡くなっておられたり、お子様がいらっしゃらなかったり、女性のみのご家族であったり、兄弟全員が遠方に暮らしておられたり——従来のマナー本には書かれていない「決め方の難しさ」を抱えるご家庭が一気に増えました。
「妻の私が喪主で本当に務まるのか」「子どものいない兄を見送るのは、誰が」「兄弟3人で分担してもいいのか」
——こうした現代特有のご相談を、葬儀社の方は時間の都合でなかなか深く受け止めてくれません。
この記事は、曹洞宗住職として何百件もの葬儀に立ち会ってきた目線で、喪主の決め方の優先順位から、現代の実情に即した特殊なケース、場面別の挨拶文例、事前に家族で話し合っておくべきことまで、現場でそのまま使える順にまとめました。
※ この記事は最後まで読まなくてかまいません。ご事情に近い章だけお読みください。
喪主とは — 仏教的な意味と現代の役割
60代の妻
喪主と施主って、同じものですか?それとも違うんでしょうか?
お坊さん
本来は別の意味でしたが、現代の葬儀ではほぼ同じ方が両方を兼ねるのが一般的です。
喪主(もしゅ)とは、ご遺族を代表して故人のお見送りを取り仕切る方のことです。
葬儀社や菩提寺との窓口となり、参列者への挨拶・香典の管理・葬儀後の法要の段取りまでを担います。
一方、仏教には施主(せしゅ)という言葉もあります。
施主とは本来、お布施をご用意し、お寺や僧侶にご供養をお願いする「お布施をする主」のことを指します。
歴史的には喪主と施主は別の方が務めることもありましたが、現代の家族葬・一般葬では、喪主が施主を兼ねる形がほぼ標準となっています。
喪主の本来の意味——「家を継ぐ者」から「家族の代表者」へ
かつての日本では、喪主は家督を継ぐ者を意味していました。
明治から昭和初期にかけては、家制度のもとで「長男が家を継ぎ、長男が喪主を務める」という形が当たり前だったのです。
しかし戦後、家制度が廃止され、核家族化が進み、ご家族の形が多様化するにつれて、喪主の意味も「家を継ぐ者」から「ご遺族を代表する方」へと、ゆるやかに変わってきました。
現代の喪主は、必ずしも長男である必要はありません。
故人ともっとも近かった方、葬儀の段取りを動ける方、家族から信頼されている方——そうしたご事情を総合的に踏まえて、家族で話し合って決めるのが今の自然な形です。
仏教における「施主」と「檀越(だんおつ)」
施主という言葉の背景には、仏教の檀越(だんおつ)という考え方があります。
檀越とはサンスクリット語「ダーナパティ」の音写で、「布施をする主」を意味します。
お釈迦様の時代から、お寺や僧侶にお布施をご用意し、ご供養を願う在家信者のことを指してきました。
現代でいえば、菩提寺へお布施をお渡しし、お経をあげていただくお願いをする方——つまり「お寺と家族をつなぐ役割を担う方」が施主です。
葬儀の場では、喪主がこの施主役を兼ねますので、菩提寺へのご連絡・お布施のご準備・読経のお願いまでが、喪主の務めとなります。
喪主と世話役の違い
ご親族のなかで、葬儀の実務(受付・会計・配車・案内)を担ってくださる方を世話役(せわやく)と呼びます。
世話役は喪主とは別の方が務めるのが一般的で、葬儀社の方が「世話役さんを2〜3名お決めいただけますか」とお声がけくださいます。
喪主は「決定」、世話役は「実務」と役割を分けることで、悲しみのなかにある喪主の負担が和らぎます。
近年は葬儀社の方が受付・会計まで担われるご家庭も増えていますので、世話役を立てるかどうかも含めて、葬儀社の方と最初の打ち合わせのときにご相談ください。
喪主は誰が務める? — 決め方の優先順位と現代の実情
40代の長男
父が亡くなったのですが、長男の私が喪主で本当にいいんでしょうか。母はまだ元気です。
お坊さん
お母さま(配偶者)がご健在であれば、まずお母さまが第一の喪主候補です。長男のあなたはサポート役からどうぞ。
喪主の決め方には、伝統的な優先順位があります。
ただし法律で定められているわけではなく、民法にも「喪主は誰が務める」という規定はありません。
あくまで慣習として、次の順番で考えるのが一般的です。
- 配偶者(夫または妻)
- 長男
- 長女
- 次男・次女・三男…
- 故人の父母
- 故人の兄弟姉妹
配偶者がご健在の場合は配偶者が第一候補
配偶者がご健在であれば、まず配偶者が喪主候補となります。
夫が亡くなれば妻が、妻が亡くなれば夫が喪主を務めるのが、現代の最も自然な形です。
高齢のご夫婦で配偶者の方が体調を崩されている場合は、長男・長女がサポート役、または代理喪主として実務を担われます。
その場合も、戒名やお布施の最終確認は、できるかぎり配偶者の方に行っていただくのが望ましい形です。
配偶者が亡くなっておられる場合の順序
配偶者がすでに亡くなっておられる場合は、お子様の世代へと喪主候補が移ります。
伝統的には長男が第一候補ですが、現代では次のような事情を考慮して柔軟に決めるご家庭が増えています。
- 故人と日常的に関わってこられた方(同居・近居・介護を担われた方)
- 葬儀の段取りを動ける方(仕事や育児の都合がつきやすい方)
- ご家族・ご親族から信頼されている方
- 故人の意向(生前に喪主を希望されていた方)
長男が遠方にお住まいで、近くに長女が住んでおられて介護を担われていた——そんなご家庭では、ご家族で話し合って長女が喪主を務められるケースも珍しくありません。
「動ける人」が務めるのが今の自然な形
私が住職としてお伝えしているのは、「喪主は『動ける方』が務めるのが、故人にとっても残されたご家族にとっても、もっとも穏やかな形」ということです。
形式的な順序にこだわって、悲しみのなかで体調を崩しておられる配偶者に無理をさせたり、遠方在住の長男が間に合わずに葬儀の段取りが止まったり——そういう状況は、誰のためにもなりません。
ご家族で話し合い、「この方が動きやすい」「この方が気持ちが整っている」という基準で柔軟に決められて、まったく差し支えありません。
法律上は「喪主を必ず決める」義務はない
民法には喪主に関する規定はなく、法律上は「喪主を必ず立てなければならない」という義務はありません。
ただし実務上は、葬儀社・菩提寺・斎場・火葬場のいずれもが「喪主のお名前」を確認します。
死亡届・火葬許可証・斎場予約・宗教者手配——どの場面でも「喪主は誰ですか」と問われますので、ご家族のなかで1名は代表者を決めておく必要があります。
決まらないまま葬儀の打ち合わせに入ると、葬儀社の方も判断を保留せざるを得ず、段取り全体が止まります。
女性が喪主を務める場合
60代の妻
主人を見送るのに、女の私が喪主で本当に務まるでしょうか。挨拶もできるか心配で。
お坊さん
ご心配は要りません。今は配偶者が喪主を務めるのが最も自然な形で、女性喪主のご家庭は本当にたくさんいらっしゃいます。
近年、女性が喪主を務められるご家庭は急速に増えています。
夫を亡くされた妻が喪主となるケースが最も多く、続いてお子様がいない方の姉や妹、お子様だけのご家族の長女など、ご事情はさまざまです。
「女性だから務まらない」「女性が挨拶するのは失礼」——こうした古い俗信に縛られる必要は、まったくありません。
服装——和装と洋装どちらでも
女性喪主の服装には、和装と洋装のどちらも選べます。
- 和装:黒紋付の留袖、もしくは黒の喪服(黒の和装喪服)。帯は黒の名古屋帯、足袋は白、草履は黒
- 洋装:黒のワンピース、または黒のスーツ。ジャケット着用、ストッキングは黒、靴は黒のパンプス(ヒール3〜5cm程度の低めのもの)
伝統を重んじるご家庭や、地方の旧家では和装を選ばれる方が多く、都市部や若い世代の喪主は洋装が一般的です。
どちらを選ばれても格式の上下はなく、ご家族・親族で揃えていただければ問題ありません。
化粧は控えめに、髪はきちんとまとめて、アクセサリーは結婚指輪と真珠の一連ネックレス程度に留めるのが、いずれの場合も共通の作法です。
挨拶——声量と原稿の活用
女性喪主の挨拶で大切なのは、声量と話す速さです。
斎場や葬儀ホールは思いのほか広く、参列者の最後列まで声が届きにくいことがあります。
葬儀社の方にお願いすれば、マイクやスタンドを準備してくださいますので、遠慮なくご依頼ください。
原稿を見ながらの挨拶でも、まったく差し支えありません。
「喪主に代わりまして、ご挨拶申し上げます」と一言断られたうえで読み上げられても、参列者の方が失礼と受け取られることはまずありません。
涙で言葉に詰まることがあっても、それは自然なお気持ちの表れですので、深呼吸をされてゆっくりと続けてくださって構いません。
親族への説明——堂々と判断を伝える
女性が喪主を務められるとき、ご親族の年長者(特に故人の兄弟・夫の兄弟)から、決定について意見をいただくことがあります。
「家族葬にしたい」「香典は辞退したい」「お墓は◯◯にしたい」——こうした判断は、喪主であるあなたが決められて差し支えありません。
ご親族へは、葬儀の打ち合わせ前に「主人の遺志と私どもの相談で、家族葬で執り行います」と簡潔にお伝えされれば十分です。
ご親族のお気持ちにも配慮されながらも、最終的な判断は喪主にあることを、菩提寺の住職や葬儀社の方も後押ししてくださいます。
「女性喪主では務まらない」は古い俗信
「女性が喪主では世間体が悪い」「長男に頼んだほうがいい」——年配のご親族からこう言われて、戸惑われる女性喪主の方は少なくありません。
しかしこれは、戦前の家制度の名残にすぎず、現代ではまったく根拠のない俗信です。
配偶者が喪主を務めるのが現代の最も自然な形であり、菩提寺・葬儀社・斎場のどなたも、女性喪主であることを問題視されません。
ご自身の判断で、堂々と務めてください。
配偶者・お子様がいない場合の喪主
60代の妹
独身だった兄が亡くなったのですが、誰が喪主を務めればいいでしょうか。
お坊さん
配偶者もお子様もおられない場合は、ご兄弟姉妹が第一の候補となります。妹さんが務めていただいて、まったく差し支えありません。
少子高齢化・未婚率の上昇により、「配偶者も子もいない方」のご葬儀は、年々増えています。
このような場合、喪主は次のいずれかの方が務められます。
- 故人の兄弟姉妹
- 甥(おい)・姪(めい)
- 親しい友人
- 成年後見人・任意後見人
- 死後事務委任契約を結んでおられた方
兄弟姉妹が務める場合
故人にご兄弟姉妹がおられる場合、ご年齢の近い方・故人と日常的に関わってこられた方が第一の候補となります。
兄弟姉妹のうち複数名がご健在であれば、ご家族で話し合って代表1名を喪主とし、残りの方々はサポート役・喪家側の参列者として動かれます。
ご兄弟姉妹もすでに亡くなっておられる場合は、その下の世代(甥・姪)へと候補が移ります。
甥・姪が務める場合
甥・姪が喪主を務められるケースも、現代では決して珍しくありません。
特に故人が長く一人暮らしをしておられ、近くに住む甥や姪が日常の見守りをされていた場合は、自然な形で甥・姪が喪主となります。
法律上の親族関係としても、甥姪は故人の三親等にあたり、火葬許可申請・斎場予約・宗教者手配のいずれも問題なく行えます。
友人が務める場合
故人にご親族が全くおられない、あるいはご親族との関係が長く途絶えていた場合は、親しい友人の方が喪主役を務められるケースもあります。
法的には喪主であることに親族関係は必須ではないため、葬儀社・斎場とも友人喪主を受け入れてくださいます。
ただし火葬後のご遺骨の引き取りや、納骨先の確定、死亡届の手続きなどには親族の関与が望ましい場面もあるため、生前に「死後事務委任契約」を結んでおくことが、友人喪主のご家庭では強くお勧めされます。
成年後見人・任意後見人が務める場合
故人が認知症やご病気のために成年後見人を立てておられた場合、その後見人の方が喪主役を担われるケースがあります。
ただし成年後見人の業務は原則として被後見人のご逝去で終了するため、後見人の方が葬儀の費用負担や決定権限まで自動的に引き継ぐわけではありません。
実務上は、後見人の方がご親族や友人と連携して喪主役を務められる形となります。
死後事務委任契約という選択肢
「将来、ひとりで亡くなったときに葬儀をどうするか」——おひとりさまの方が事前に備えておかれる手段が、死後事務委任契約です。
司法書士や行政書士の方と契約を結び、ご逝去後の葬儀・火葬・納骨・遺品整理・各種手続きまでを委任しておくものです。
費用は契約内容により50万円〜200万円程度が相場で、生前に信頼できる第三者と契約を結んでおかれることで、ご親族の負担なくお見送りができます。
菩提寺がある場合は、菩提寺の住職にも生前に「死後事務委任契約を結んでいます」とお伝えしておかれると、いざというときの段取りがいっそう滑らかになります。
複数人で喪主を務める場合
40代の長男
兄弟3人で母の喪主を分担してもいいのでしょうか?
お坊さん
ご兄弟で共同喪主を立てられるご家庭は、近年とても増えています。代表1名を決めていただいたうえで、ご3人で役割を分担される形をおすすめします。
「喪主を1人に決めると負担が大きい」「兄弟で公平に務めたい」——こうしたご事情から、複数人で共同喪主を立てられるご家庭が増えています。
兄弟3人で共同喪主、夫婦で共同喪主、長男と長女で共同喪主——形はさまざまです。
法律上は何人で務めていただいても問題なく、葬儀社・菩提寺・斎場のいずれも、共同喪主を受け入れてくださいます。
代表1名を立てる実務的な理由
複数人で喪主を務める場合でも、葬儀社・寺院との窓口は代表1名に絞ることを強くお勧めします。
兄弟3人がそれぞれ別の判断を葬儀社の方に伝えると、現場が混乱し、葬儀の段取りが何度もやり直しになります。
「読経時間は1時間で」と長男が伝え、「30分で短縮を」と長女が伝え、「それなら別のお寺に変えよう」と次男が言い出す——こうした行き違いを避けるために、まずご兄弟のなかで代表1名を決められてください。
代表喪主の方が窓口となり、葬儀社・菩提寺・斎場との連絡を一本化されます。
ご家族内での判断は、代表喪主が他の喪主と相談しながら決められればまったく問題ありません。
役割分担の具体例
ご兄弟3名で共同喪主を立てられる場合の、典型的な役割分担はこのようになります。
- 代表喪主(長男):葬儀社・菩提寺との窓口、喪主挨拶、戒名のお願い
- 喪主A(長女):親族への連絡、受付対応の差配、お返しの手配
- 喪主B(次男):費用の取りまとめ、香典の管理、四十九日法要の段取り
このように役割を分けることで、1人にすべての負担が集中することを防げます。
ご夫婦で共同喪主を立てられる場合は、夫が外向きの挨拶・親族対応、妻が裏方の段取り・お返しの手配と分担されるご家庭もあります。
香典・お布施の管理方法
共同喪主の場合、香典・お布施の管理は1名の方が一括で行うのが原則です。
複数人で管理すると、後で「いくら集まったのか」「いくら支払ったのか」が不明確になり、ご兄弟間でのトラブルの種になります。
代表喪主か、もしくは費用担当の方が一括で管理し、葬儀後にご兄弟で集まって決算報告をされる形が、最も透明で公平です。
葬儀費用を兄弟で分担される場合は、事前に「3分の1ずつ」「家族構成に応じて」など、分担割合をきちんと話し合っておくことが大切です。
訃報・案内状の表記方法
訃報・案内状に喪主名を記載する場合、共同喪主であれば次のように表記されます。
- 連名表記:「喪主 長男 〇〇 太郎 / 長女 〇〇 花子 / 次男 〇〇 次郎」
- 代表表記:「喪主 〇〇 太郎(長男・他兄弟2名)」
連名表記がご家族の意向に沿った形であれば、葬儀社の方にお願いして連名で印刷していただいてください。
代表表記でも、参列者の方への失礼にはあたりません。
ご家族の形に合わせて、選ばれて差し支えありません。
若年喪主・遠方喪主のリアル
30代の長女
30代で母を喪主として送ることになりました。仕事や育児もあり、何から手をつければいいか分からなくて。
お坊さん
ご事情はよく分かります。若い世代の喪主の方には、葬儀社の方と菩提寺の住職が手厚くサポートできる体制がありますので、抱え込まれず遠慮なくご相談ください。
20代・30代で親御さまを見送ることになる「若年喪主」のご家庭は、近年確実に増えています。
仕事を急に休めない・育児の真っ最中・葬儀の経験が一度もない——こうした状況のなかで喪主を務めることは、決して簡単ではありません。
また、長く実家を離れて遠方に暮らしておられる方が、急遽喪主として現地で動かれる「遠方喪主」のケースも珍しくありません。
若年喪主の現実——仕事と育児のなかで動く
20〜30代の喪主の方が直面される現実は、上の世代とは大きく異なります。
- 仕事を急に4〜5日休まなければならない
- 小さなお子様の世話を誰に頼むか
- 葬儀の経験がまったくなく、何から手をつければいいか分からない
- 葬儀費用(平均110万円前後)を急に用意できるか不安
- 親族の年長者から「若いのに大丈夫か」と心配される
こうしたご事情に対しては、葬儀社の方と菩提寺の住職、そしてご親族の3者がしっかり支えてくださる体制があります。
葬儀社の方は受付・会計・配車・進行・案内まで、実務の大半を担ってくださいます。
菩提寺の住職は、読経・戒名・四十九日法要までの段取りを丁寧にご説明くださり、宗教面の判断は住職にお任せいただいて差し支えありません。
ご親族には、若年喪主の方だからこそ「分からないので教えてください」と素直にお願いされて結構です。年長のご親族は、頼られることをむしろ喜んでくださいます。
遠方喪主のリアル——現地到着前から動ける段取り
実家を離れて遠方にお住まいの方が、急遽喪主として現地に向かわれる場合、到着前から電話で進められる業務がいくつかあります。
- 葬儀社の選定と概算見積もり:電話で家族葬・一般葬の規模と予算をお伝えになり、複数社から見積もりをお取りください
- 菩提寺への第一報:「父(母)が亡くなりました。葬儀の日程を相談したいのですが」と一本お電話を入れていただくのが最優先
- 親族への連絡:兄弟姉妹・故人のご兄弟・故人の親しかった方々へ、まず訃報をお伝えになる
- 勤務先への連絡:忌引休暇の申請を、現地到着前の段階で進めていただく
これだけで、現地到着時には葬儀社・菩提寺・親族との段取りが半分以上進んでいる状態を作れます。
新幹線や飛行機の移動時間も、貴重な準備時間として活用なさってください。
仕事との両立——忌引休暇と葬儀ホールの活用
忌引休暇は、企業・自治体・公的機関の大半で制度化されています。
両親の場合は5〜7日、配偶者の場合は7〜10日、お子様の場合は3〜5日が一般的な日数です。
会社にご事情を率直にお伝えになれば、追加の有給休暇も含めて柔軟に対応してくださるのが現代の標準です。
また、ご自宅ではなく葬儀ホールで葬儀を執り行うことで、ご家族の負担は大きく減らせます。
ご自宅での通夜・葬儀には準備・片付け・宿泊対応など多くの実務が伴いますが、葬儀ホールであればこれらをすべて葬儀社の方にお任せできます。
仕事と育児に追われる若年喪主の方には、葬儀ホールの活用を強くお勧めします。
育児中の喪主——お子様連れでの参列
お子様を抱えながら喪主を務められる場合は、葬儀社の方に事前に「子連れで動きます」とお伝えください。
斎場の控室にお子様用のスペースを設けてくださったり、ご親族の方にお子様の世話をお願いできるよう調整してくださったりします。
お子様連れだから喪主が務まらない、ということは決してありません。
「育児中の若い喪主」を、葬儀社・菩提寺・ご親族のどなたも、温かく支えてくださいます。
喪主の役割と仕事 — 逝去から四十九日まで
40代の長男
喪主の仕事は、具体的にいつから始まって、いつまで続くのでしょうか?
お坊さん
ご逝去のその瞬間から四十九日法要まで、約50日間が喪主の主要な務めの期間です。
喪主の役割と仕事は、ご逝去のその瞬間から始まり、四十九日法要を区切りに一段落します。
期間としては約50日間、その間に喪主は数多くの判断と段取りを担うことになりますが、葬儀社の方と菩提寺の住職、そしてご親族が支えてくださいますので、決して1人で抱え込む必要はありません。
逝去当日にやること
ご逝去のその瞬間から、喪主の務めが始まります。
ご病院でお亡くなりになった場合は、医師から死亡診断書が発行されます。これは火葬許可申請に必須の書類ですので、忘れずにお受け取りください。
逝去当日にやることは、おおよそ次の順序で進みます。
- 医師からの死亡診断書の受け取り
- 葬儀社への連絡(事前に決めていなければ、ここで選定)
- ご遺体の搬送先の決定(ご自宅 or 葬儀社の安置所)
- 菩提寺へ第一報のお電話
- ご親族・故人の親しかった方々への訃報のご連絡
- 勤務先への忌引休暇の連絡
- 喪服・数珠など葬儀用品の準備
ご逝去から24時間以内は、火葬が法律で禁止されています(墓地、埋葬等に関する法律第3条)。
この間にご遺体を安置し、通夜・葬儀の段取りを整える時間として用いられます。
通夜・告別式での喪主動作
通夜は、ご逝去の翌日の夕方(17〜21時頃)に執り行うのが現代の主流(半通夜)です。
喪主は開式の30〜60分前に到着し、菩提寺の住職を控室へご案内し、ご親族との打ち合わせを行います。
通夜の進行中、喪主は祭壇に最も近い席に着き、読経・焼香を行います。
参列者からの香典は受付の方が受け取ってくださいますが、喪主は要所要所で参列者へ挨拶に回り、最後に散会前の挨拶を述べます。
翌日の告別式でも、喪主は同じく最前列に着き、読経・焼香、出棺の挨拶、火葬場へのご同行、最後にご収骨を担われます。
詳しい1日の流れは 通夜の流れと時間配分 家族葬の流れ もあわせてご参照ください。
火葬場での喪主の振る舞い
告別式の後、ご遺体を霊柩車でお運びし、火葬場で最後のお別れをします。
火葬場では、喪主が筆頭となり、ご親族と共に焼香・最後のご対面・火葬炉の前でのお見送りを行います。
火葬は通常1〜2時間ほどかかります。
その間、喪主とご親族は控室で待機し、お茶やお菓子をいただきながら故人を偲びます。
火葬終了後、喪主と最も近いご親族から収骨を行います。
二人一組でお箸を使ってご遺骨を骨壷に納める作法(箸渡し)は、地方や宗派により多少の違いがあります。火葬場の係員の方が手順をご案内くださいますので、それに従われて差し支えありません。
四十九日までの法要準備
ご葬儀が終わった後も、喪主の務めは続きます。
仏教では、ご逝去の七日ごとに故人がこの世とあの世の間を旅されると説かれ、七日ごとの法要を営みます。
初七日(しょなのか)・二七日(ふたなのか)・三七日……と続き、七七日(しちしちにち)すなわち四十九日法要で、故人があの世へ無事に旅立たれたと区切りをつけます。
現代では、初七日法要は告別式の日に繰り上げて執り行われるご家庭が大半です。
二七日から六七日までは、ご家庭でのささやかなお勤め(仏壇の前で読経)に簡略化されるケースも多くなりました。
四十九日法要は、菩提寺の住職をお招きしてご親族で正式に営みます。
この日に納骨を行われるご家庭も多く、喪主は菩提寺・霊園・石材店との打ち合わせを進める必要があります。
四十九日法要の準備は、葬儀の終了から1ヶ月後を目安に動き始められると、慌てずに整えられます。
詳しい百ヶ日までの法要の流れは、家族葬の流れ でご紹介していますので、あわせてご参照ください。
香典返し・忌明け挨拶状の手配
四十九日法要を機に、いただいた香典へのお返し(香典返し)と、忌明けのご挨拶状を発送します。
香典返しは、いただいた香典の半額〜3分の1を目安とする「半返し」が一般的です。
葬儀社や百貨店が香典返しの代行サービスを提供されていますので、喪主はリストをお渡しになるだけで、選定・包装・発送までを任せられます。
忌明け挨拶状は、香典返しに同封する形が標準です。
香典返しのタイミングや辞退いただいた場合の対応については、家族葬で香典は辞退すべき? もご参照ください。
葬儀社・お寺との打ち合わせ — 喪主が決めること
60代の妻
葬儀社の方とお寺、どちらに先にお電話すればいいんでしょうか?
お坊さん
菩提寺がおありなら、まず菩提寺にお電話ください。葬儀社の打ち合わせの前に、お寺のご都合を確認するのが一番滑らかな段取りです。
葬儀の段取りは、「菩提寺への第一報」「葬儀社との打ち合わせ」「親族への連絡」の3つを並行して進めます。
このとき重要なのが、菩提寺がある場合は、葬儀社よりも先に菩提寺へ連絡するということです。
葬儀社の方は「うちで宗教者を手配します」と提案してくださることが多いのですが、菩提寺がおありなら、そのご都合を最優先に確認しなければ後で大きな問題になります。
菩提寺への第一報——電話の切り出し方
菩提寺への第一報は、ご逝去から数時間以内にお電話するのが望ましい段取りです。
夜遅い時間(22時以降)や早朝(6時以前)は避け、可能なら9時〜20時の間にお電話されてください。
お寺が留守の場合は留守番電話にメッセージを残し、折り返しのご連絡をお待ちください。
電話の切り出し方は、次のような形で結構です。
「夜分(朝早く)に申し訳ございません。〇〇寺さまでいらっしゃいますでしょうか。 〇〇家の〇〇と申します。檀家としてお世話になっております。 実は本日(昨夜)、父(母)の〇〇が亡くなりまして、これから通夜・葬儀の段取りを進めなければなりません。 通夜・葬儀の日程をご相談させていただきたく、お電話いたしました。」
最初のお電話では、次の3点を住職にご相談ください。
- 通夜・葬儀の日程(住職のご予定を確認)
- 読経のお願い(通夜・葬儀・初七日まで一連でお願いする形が一般的)
- 戒名(法名)のご相談(生前戒名がない場合)
お布施の金額は、この最初の電話では深く踏み込まなくて構いません。
「お布施についても改めてご相談させてください」と一言添えられれば十分で、後日詳しくお話できます。
詳しいお布施の相場や渡し方は お布施の相場と渡し方 をご参照ください。
葬儀社との打ち合わせチェックリスト
菩提寺への第一報の後、葬儀社との打ち合わせに入ります。
打ち合わせで喪主が決めることは、おおよそ次の項目です。
- 葬儀の規模:家族葬・一日葬・一般葬・直葬のいずれか
- 予算:総額の目安(家族葬で50〜100万円が一般的)
- 式場:葬儀ホール・ご自宅・寺院本堂のいずれか
- 棺:素材・装飾のグレード
- 祭壇:白木祭壇・花祭壇のいずれか、規模
- 供花・供物:誰の名前で供えるか
- 返礼品:会葬御礼・粗供養の品
- 霊柩車・マイクロバス:手配の要否
- 遺影:使用する写真の選定
- 会葬礼状:定型文・オリジナル文のどちらか
- 受付・案内:葬儀社にお願いするか、ご親族で対応するか
- 通夜振る舞い・精進落とし:人数と内容
- 会計:支払いの段取り(葬儀後の一括精算が一般的)
葬儀社の方は専門家ですので、ご質問や迷いを率直にお伝えになれば、ご家族の予算と意向に沿った提案をしてくださいます。
「これが標準です」「皆さんこうされます」とご案内されたとしても、ご家族の判断で「うちはこの規模で」「ここは省略で」と決められて差し支えありません。
ご葬儀は、ご家族のためにあるものです。
親族への連絡順序
親族へのご連絡は、次の順序で進められると滑らかです。
- 故人の配偶者(亡くなっておられる場合は省略)
- 故人のお子様(次世代の主要な親族)
- 故人のご兄弟・ご姉妹
- 故人のご両親(ご健在の場合)
- 故人の親しかった友人・恩師
- 故人の勤務先(ご退職後の場合は元職場)
- ご近所・町内会
最初の数件は喪主が直接お電話し、残りは葬儀社の方や、ご親族の方に手分けしてご連絡を進めていただきます。
訃報の連絡は、メール・LINEではなくお電話を基本とされるのが、いまも変わらない作法です。
ご親族には、通夜・葬儀の日時・場所と、香典・参列の意向を簡潔にお伝えになれば結構です。
喪主の挨拶 — 場面別の文例集
70代の夫
通夜と葬儀で挨拶を求められると聞いたのですが、何を話せばいいのでしょうか?
お坊さん
喪主の挨拶は、参列のお礼・故人への想い・今後のお願いの3つを述べれば十分です。原稿を見ながらでまったく問題ありません。
喪主の挨拶は、通夜・告別式・出棺・精進落とし・四十九日法要と、複数の場面で求められます。
長く話す必要はなく、1分から3分程度の短い挨拶で十分です。
参列のお礼、故人への想い、今後のお願いの3つを軸に、ご自身の言葉でゆっくり話されてください。
原稿を見ながらでまったく差し支えなく、涙で言葉に詰まることがあっても、それは自然なお気持ちの表れです。
通夜での挨拶——短縮版(30秒)と標準版(1分)
通夜の挨拶は、散会前に喪主が参列者全員に向けて述べます。
短縮版(30秒程度)と標準版(1分程度)のどちらでも結構です。
通夜挨拶・短縮版(30秒)の文例通夜挨拶・標準版(1分)の文例本日はお忙しいなか、亡き父〇〇の通夜にご参列くださり、誠にありがとうございました。
父も皆さまにお見送りいただき、心安らかに旅立てたことと存じます。
明日の葬儀は〇〇時より執り行います。ご都合の許す方は、引き続きお見送りいただければ幸いです。
本日は誠にありがとうございました。
本日はお忙しいなか、亡き父〇〇の通夜にお運びくださり、誠にありがとうございました。
父は〇月〇日、〇〇のため〇〇歳でこの世を去りました。家族の心配を最後まで気にかけてくれる、優しい人でした。
生前の父に賜りましたご厚情に、家族一同、心より感謝申し上げます。
明日の葬儀は〇〇斎場にて、〇〇時より執り行います。ご都合の許す方は、引き続きお見送りいただければ幸いです。
本日は誠にありがとうございました。
告別式での挨拶——標準版(2分)と丁寧版(3分)
告別式の挨拶は、ご出棺の前に喪主が参列者全員に向けて述べます。
通夜よりも少し丁寧に、故人の人柄や生前のエピソードを織り交ぜられると、参列者の心に深く残ります。
告別式挨拶・標準版(2分)の文例本日はご多忙のなか、亡き父〇〇の葬儀ならびに告別式にご参列を賜り、誠にありがとうございました。
父は〇月〇日、〇〇のため、家族に見守られながら〇〇歳で旅立ちました。
父は若いころから〇〇の仕事一筋に励み、退職後は孫と過ごす時間を何より大切にしておりました。
最後の数ヶ月は病と闘いながらも、見舞いに来てくださった皆さまには笑顔を絶やすことなく、感謝の気持ちを伝えていたと聞いております。
皆さまに賜りました生前のご厚情、心より深く感謝申し上げます。
これからは家族で力を合わせ、父の遺してくれたものを大切に守ってまいります。
残されました家族へも、これまで同様にお力添えを賜りますようお願い申し上げます。
本日は誠にありがとうございました。
出棺の挨拶——短縮版(30秒)
出棺の挨拶は、ご遺体を霊柩車にお運びする直前、火葬場へ向かわれる前に述べます。
最も短く、30秒程度で結構です。
出棺挨拶・短縮版(30秒)の文例本日は最後までお見送りくださり、誠にありがとうございました。
これより〇〇火葬場に向かいまして、父を見送ってまいります。
皆さまの温かいお気持ちに、家族一同、心より感謝申し上げます。
本日は誠にありがとうございました。
精進落としでの挨拶——開会と閉会
精進落とし(しょうじんおとし)は、火葬・収骨後にご親族と関係者でいただく食事の席です。
喪主は、開会と閉会の2回、簡潔に挨拶を述べます。
精進落とし・開会の挨拶(30秒)精進落とし・閉会の挨拶(30秒)本日は父の葬儀から火葬まで、長時間にわたりお見送りくださり、誠にありがとうございました。
心ばかりではございますが、皆さまへのお礼の気持ちを込めて、お席をご用意いたしました。
父の思い出話などお聞かせいただきながら、どうぞごゆっくりお召し上がりください。
本日は長時間にわたりお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
皆さまの温かいお言葉に、家族一同、深く慰められております。
これにてお開きとさせていただきます。お気をつけてお帰りください。
本日は誠にありがとうございました。
四十九日法要での挨拶(1分)
四十九日法要は、葬儀から約7週間後に営む、忌明けの大切な節目です。
ご親族を中心に、近しい方々のみで執り行われるご家庭が大半です。
四十九日法要・喪主挨拶(1分)の文例本日はお忙しいなか、亡き父〇〇の四十九日法要にお運びくださり、誠にありがとうございました。
父が旅立ってから早いもので、もう七週間が経ちました。
この間、皆さまから賜りました温かいお励まし、心より感謝申し上げます。
本日、ご住職にお導きいただきまして、無事に忌明けを迎えることができました。
これより法要のあと、納骨を執り行います。引き続き、お見送りいただければ幸いです。
本日は誠にありがとうございました。
忌み言葉NGリスト——避けるべき言葉
喪主の挨拶では、いくつかの忌み言葉を避けるのが伝統的なマナーです。
主な忌み言葉と言い換え例は次のとおりです。
- 重ね言葉:「重ね重ね」「たびたび」「くれぐれも」「再三」→「何度も」「あらためて」「十分に」
- 生死を直接表す言葉:「死亡」「死去」「生存中」「急死」→「ご逝去」「お亡くなりに」「生前」「突然のこと」
- 不吉な響き:「四」「九」「迷う」「浮かばれない」「追って」→数を読み替える、別の表現を使う
ただし、これらにあまり神経質になりすぎる必要はありません。
ご家族のお気持ちを素直に、ゆっくりと、心を込めてお伝えになることが、何より大切です。
参列者の方も、形式の細部よりも、喪主の方のお気持ちを受け取りに来ておられます。
事前に決めておくべきこと — 元気なうちに家族で話し合う
50代の長女
親が元気なうちに喪主のことを話すのは、縁起が悪いような気がして切り出せずにいます。
お坊さん
それは古い俗信です。元気なうちに話し合っておかれることは、むしろ親孝行であり、家族全員にとっての安心になります。
「親が生前に喪主や葬儀のことを話すと縁起が悪い」——この俗信は、根強く残っています。
しかし住職としてお伝えしたいのは、元気なうちに家族で話し合っておくことは、決して縁起の悪いことではなく、むしろ家族全員にとっての安心であるということです。
突然のご逝去の混乱のなかで、誰が喪主を務めるか・どの葬儀社にお願いするか・菩提寺がどこか——こうした基本的な情報すら分からないまま動かれることは、ご家族にとって本当に大きな負担になります。
親子で話し合う8つの項目
事前に話し合っておかれると安心な項目は、次のとおりです。
- 喪主は誰が務めるか:配偶者・長男・長女のいずれかをご家族で確認
- 菩提寺の有無と連絡先:お寺の名前・住所・電話番号
- 希望する葬儀の規模:家族葬・一般葬・一日葬・直葬のいずれか
- 希望する葬儀社:事前に見積もりをとっておかれると安心
- お墓の有無と所在地:納骨先の確認
- 遺影に使う写真:本人がご納得される1枚をあらかじめ選んでおく
- エンディングノートの保管場所:家族に共有
- 預金口座・保険・年金の情報の所在:相続手続きに必須
これらをエンディングノートに記入し、ご家族と共有しておかれれば、いざというときの混乱を大きく減らせます。
子世代から親への切り出し方
「親に葬儀のことを聞きづらい」——お子様の世代から、こうしたご相談をよくいただきます。
切り出し方の例をいくつかご紹介します。
- 「テレビで終活の番組をやっていて、うちはどうしようかなと思って」
- 「友達のお父さんが亡くなったときに葬儀社で困ったらしくて、うちはどうしておく?」
- 「エンディングノートを買ってきたから、よかったら一緒に書いてみない?」
きっかけは何でも結構です。
大切なのは、親御さまのお気持ちを尊重しながら、ゆっくり何度かに分けて話し合うことです。
一度に全てを決めようとせず、季節の節目や年末年始など、ご家族が集まるタイミングを利用して、少しずつ進めていかれてください。
親世代から子世代への伝え方
逆に、親御さまの側から「自分の葬儀のことを子どもに伝えておきたい」とお考えになる方も増えています。
その場合、次のようなお伝え方が穏やかです。
- 「もしものことがあったとき、菩提寺は〇〇寺さんだから連絡してね」
- 「葬儀は家族葬で構わないから、無理しないでね」
- 「お墓は〇〇霊園にあるから、四十九日にそこに納めてね」
- 「エンディングノートを書いておいたから、書斎の引き出しに入れておくね」
お子様に重荷を背負わせないよう「家族葬で構わない」「無理しないで」と一言添えられると、子世代の心の負担が大きく和らぎます。
菩提寺との関係を絶やさない
お墓を継いでいかれるうえで、最も大切なのが菩提寺との関係を絶やさないことです。
長年お寺との関わりがなかったご家庭でも、ご逝去の際にはご親族の口から「菩提寺は〇〇寺さん」と教えられて初めて存在を知る——というケースが少なくありません。
元気なうちに一度、菩提寺に挨拶に伺われ、住職にお目にかかっておかれることを強くお勧めします。
お墓の場所・檀家としての連絡先・年回忌の予定など、お寺と家族の間の情報を共有しておかれることで、ご逝去の際の段取りが本当に滑らかになります。
詳しい菩提寺との付き合い方や事前相談の意味については、直葬(火葬式)とは 一日葬とは でも触れています。あわせてご参照ください。
よくある質問
よくあるご質問
Q 喪主は必ず決めないといけないのですか?
法律上の義務はありませんが、実務上は喪主が必要です。 葬儀社・菩提寺・斎場・火葬場のいずれも「喪主のお名前」を確認しますし、死亡届・火葬許可証・宗教者手配・斎場予約のどの場面でも喪主の決定が前提となります。 ご家族のなかで代表1名を決めておかれてください。
Q 誰が喪主になるべきですか?優先順位はありますか?
伝統的には配偶者→長男→長女→次男・次女→故人の父母→兄弟姉妹の順とされてきました。 ただし法律で定められたものではなく、現代では「故人と日常的に関わってこられた方」「葬儀の段取りを動ける方」が優先される傾向があります。 形式的な順序にこだわらず、ご家族で話し合って決められて差し支えありません。
Q 妻(配偶者)が喪主になっても良いですか?
配偶者が喪主を務めるのが現代の最も自然な形です。 夫を見送られる妻が喪主、妻を見送られる夫が喪主——どちらも珍しいことではなく、菩提寺・葬儀社・斎場のどなたも問題視されません。 「女性だから務まらない」という古い俗信に縛られる必要はまったくありません。
Q 兄弟で喪主を分担できますか?
法律上は何人でも構いませんし、近年は兄弟3名で共同喪主を立てられるご家庭が増えています。 ただし、葬儀社・寺院との窓口は代表1名に絞ることを強くお勧めします。 代表喪主が連絡を一本化し、他の喪主は親族対応・費用管理・四十九日法要の段取りなど分担される形が、最も混乱が少ない運用です。
Q 喪主と施主は違うのですか?
本来は別の役割でした。 喪主はご遺族の代表として葬儀全体を取り仕切る方、施主はお布施をご用意して仏事を主宰する方を指します。 現代の家族葬・一般葬では、ほぼ同じ方が喪主と施主を兼ねる形が標準となっています。 共同喪主の場合に、お布施担当を1名分けて「施主」として記載されるご家庭もあります。
Q 親が生前に喪主を決めるのは縁起が悪いですか?
古い俗信ですが、まったく根拠はありません。 むしろ元気なうちに喪主・菩提寺・葬儀社・お墓のことを家族で話し合っておかれることは、突然のご逝去の混乱を防ぎ、ご家族全員の安心につながります。 エンディングノートを活用して、季節の節目や年末年始に少しずつ話し合っていかれることをお勧めします。
Q 女性喪主に作法の違いはありますか?
基本的な作法に男女の違いはありません。 服装は和装の黒紋付か洋装の黒スーツ・黒ワンピースのどちらでも結構です。 挨拶も男性喪主と同様、参列のお礼・故人への想い・今後のお願いの3点を述べます。 声量が届きづらい場合は葬儀社にマイクをご依頼ください。 原稿を見ながらの挨拶でも、まったく失礼にはあたりません。
Q 配偶者も子もいない場合は誰が喪主になりますか?
故人のご兄弟姉妹が第一の候補、続いて甥姪、それでもおられない場合は親しい友人や成年後見人、死後事務委任契約を結んでおられた方が務められます。 火葬場・斎場のいずれも親族以外の喪主を受け入れます。 ただし納骨先の確定や死亡届の手続きに親族関与が望ましい場面もあるため、生前に死後事務委任契約を結んでおかれることが「おひとりさま」の方には強くお勧めです。
Q 喪主の挨拶で言ってはいけない言葉はありますか?
伝統的には「重ね重ね」「たびたび」「くれぐれも」などの重ね言葉、「死亡」「死去」「生存中」など生死を直接表す言葉、「四」「九」「迷う」などの不吉な響きを避けるとされます。 ただしあまり神経質になりすぎる必要はありません。 ご家族のお気持ちを素直に心を込めて伝えられることが、何より大切です。 参列者の方も形式の細部より、喪主のお気持ちを受け取りに来ておられます。
Q 葬儀社や寺院の打ち合わせで喪主が決まっていないとどうなりますか?
葬儀社・寺院・斎場とも「喪主さんに確認が必要」と判断を保留され、段取り全体が止まります。 死亡届の届出人・火葬許可申請・斎場予約・宗教者手配のいずれも喪主名を確認する必要があるため、ご逝去から数時間以内には、ご家族のなかで代表1名を決められてください。 後から変更することも可能ですので、まずは決定を優先されてください。
Q 喪主の役割は何日間続きますか?
ご逝去のその瞬間から始まり、四十九日法要を区切りに一段落します。 期間としては約50日間です。 その間に通夜・葬儀・火葬・初七日法要・七日ごとのお勤め・四十九日法要・納骨・香典返しの手配を担います。 一周忌・三回忌・七回忌……と年回忌は続きますが、四十九日以降は喪主の負担は大きく軽減します。
Q 喪主が受け取る香典・お布施はどう管理すればいいですか?
喪主が一括で管理されるのが原則です。 葬儀費用の支払いに充てるのが一般的で、余剰分は香典返しや四十九日法要の費用に回されます。 共同喪主の場合は、1名の方が一括管理し、後日ご兄弟で決算報告をされる形が、透明で公平な運用です。 葬儀費用を兄弟で分担される場合は、分担割合を事前に話し合っておかれてください。
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主な参考資料・出典
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- 墓地、埋葬等に関する法律(e-Gov 法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000048
- 日本消費者協会「葬儀についてのアンケート調査(第12回・2022年)」 https://jca-home.jp/
- 鎌倉新書「第6回お葬式に関する全国調査(2024年)」 https://www.kamakura-net.co.jp/newstopics/10760/
- 全日本仏教会「仏事のお作法」 https://www.jbf.ne.jp/
- 曹洞宗公式サイト「葬儀・年回忌法要」 https://www.sotozen-net.or.jp/
- 全日本冠婚葬祭互助協会「葬儀の進行標準」 https://www.zengokyo.or.jp/
- 法務省「成年後見制度」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html
- 日本司法書士会連合会「死後事務委任契約」 https://www.shiho-shoshi.or.jp/
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