\お坊さんが伝える/ 親が終活してくれない悩みへの5つの切り出し方
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家族葬の流れ|逝去から納骨・百ヶ日まで全工程をお坊さんが解説

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お坊さん(僧侶歴10年以上)

数百件のご家族と向き合ってきた経験から、終活・葬儀・墓じまいの悩みにお応えします。

家族葬の流れ|逝去から納骨・百ヶ日まで全工程をお坊さんが解説

「親が亡くなったあと、家族葬って具体的に何からどう動けばいいのでしょうか」——いま家族葬を控えていらっしゃる方が、いちばん不安に感じておられるのが「最後まで、何が、いつ、どう進むのか」の全体像だと思います。

家族葬の流れは、ご逝去のその瞬間から、通夜・告別式・火葬・還骨・四十九日法要・納骨・百ヶ日までを含めるとおよそ100日にわたります。準備の72時間だけ調べても、四十九日や納骨の段になって「次は何をすればいいんだろう」と立ち止まる方は、本当に多くおられます。

私のもとには、ご法事のあとに「火葬まではバタバタで何とかしたんですが、納骨はいつ、どう動けばいいんでしょう」「四十九日と納骨は同じ日にしなければいけませんか」というご相談が、毎月のように届きます。

この記事は、曹洞宗住職として葬儀・年忌の現場で「逝去直後から百ヶ日法要まで」見届けてきた目線から、家族葬の流れを実時間軸で整理したものです。準備のやり方は他記事に譲り、本記事では「最後まで見届ける」を貫いてご案内します。

※ この記事は最後まで読まなくてかまいません。気になる章だけお読みください。

最終更新: 2026-05-14

家族葬の全工程一覧 — 逝去から百ヶ日まで100日のタイムライン

50代の子世代

家族葬って、全部でどのくらいかかるんでしょう?

お坊さん

逝去から百ヶ日まで、およそ100日ほどです。

「家族葬の流れ」と検索される方の多くは、通夜と告別式までを思い浮かべておられます。けれどご家族にとっての「ひと区切り」は、火葬の日ではなく四十九日法要で納骨を済ませ、百ヶ日で忌明けを迎えるところまでです。

家族葬の100日タイムライン俯瞰図。逝去(0日)→通夜(2日目)→告別式・火葬(3日目)→還骨法要・初七日(同日)→中陰期間(〜48日目)→四十九日法要・納骨(49日目)→百ヶ日(100日目)を1本の横軸で並べた図解
家族葬の流れ100日タイムライン(逝去〜百ヶ日)

100日タイムラインの全体像

ご逝去のその瞬間を「0日目」と置くと、家族葬の流れは大きく次の節目に分けられます。

  • 0日目:ご逝去・医師による死亡確認・搬送・安置
  • 1〜2日目:葬儀社契約・菩提寺への第一報・訃報連絡・通夜
  • 3日目:告別式・出棺・火葬・骨上げ・還骨法要(繰り上げ初七日)
  • 〜48日目:中陰期間(自宅祭壇・本位牌・お墓・香典返しの準備)
  • 49日目:四十九日法要・納骨の儀・忌明け
  • 100日目:百ヶ日法要(卒哭忌・そっこくき)

100日と聞くと長く感じられますが、ご家族の動きが集中するのは最初の3日間四十九日の前後の2山だけです。そのあいだの中陰期間は、悲しみと向き合いながらゆっくり準備を進める時間になります。

子世代が見落としやすい3つの節目

私がご法事の場でよくお伝えしているのは、「通夜・四十九日・百ヶ日」の3つの節目を意識してほしいということです。

家族葬の3つの節目を強調した図解。『通夜(弔いの始まり)』『四十九日(忌明けと納骨)』『百ヶ日(卒哭忌・喪の入り口を抜ける)』を縦3ノードで並べ、それぞれに意味を添えた構成
家族葬で意識したい3つの節目
  • 通夜:故人と過ごす最後の夜。家族・親族が心を寄せる「弔いの始まり」
  • 四十九日:仏教でいう「忌明け」。故人の魂の行き先が定まる日で、納骨もあわせるご家庭が多い
  • 百ヶ日:「卒哭忌(そっこくき)」と呼ばれ、声をあげて泣く日々から少しずつ離れる節目

通夜と告別式は葬儀社が手厚く案内してくれます。けれど四十九日と百ヶ日は、ご家族と寺院との段取りに移ります。ここで「次は何をすればいいか分からない」と立ち止まる方が、もっとも多いです。

40代の長男

通夜のあとは、まず何を考えればいいですか?

お坊さん

本位牌とお墓、四十九日法要の日程です。

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まず今夜の1アクション

ご家族の状況によって優先順位は変わりますが、いちばん最初に動くなら次の1つです。

  • 菩提寺がある家庭:寺院に電話を1本入れて、ご住職に逝去をお伝えし、通夜・葬儀の日程相談を始める
  • 菩提寺がない家庭:葬儀社の事前相談ダイヤル(無料・24時間)に電話して、搬送依頼と見積もり相談を同時に始める

どちらも「今日明日中に契約しなければ」と焦る必要はありません。落ち着いて1本電話を入れていただくところから、すべての流れが始まります。

ご逝去から安置まで(0〜6時間)

50代の子世代

病院で亡くなったあと、まず何をすればいいですか?

お坊さん

医師確認・搬送・安置の3つです。

ご逝去直後の0〜6時間は、ご家族にとって人生でいちばん動揺される時間です。それでも病院での看取りの場合は、医師の判断と搬送業者の手配が最初に重なります。落ち着いて動けるよう、3つのステップに分けて見ていきます。

ご逝去から安置までの0〜6時間タイムライン図解。『0時間:医師による死亡確認と死亡診断書受領』『1〜3時間:搬送業者手配と病院退出』『3〜6時間:自宅または安置施設へ搬送・安置』を縦3段で並べた図
ご逝去から安置までの0〜6時間

0〜1時間:医師による死亡確認と死亡診断書

病院で亡くなった場合は、医師が死亡確認をして死亡診断書を発行してくださいます。この書類は火葬許可証の発行や年金停止手続きにも使われる、もっとも重要な公的書類です。原本1枚と、必ずコピーを5〜10枚取っておきましょう。

ご自宅で看取られた場合は、まずかかりつけ医に電話を入れます。突然のことで掛かりつけ医がいない場合は、救急車ではなく警察への連絡が必要になることもあります。看取りの場が病院か自宅かで、最初の電話先が変わる点だけ覚えておかれると安心です。

1〜3時間:搬送業者の手配

医師の判断が出たら、病院から「ご遺体をお引き取りください」と告げられます。多くの病院では2〜3時間以内に搬送を求められますので、ここで搬送業者を手配する必要があります。

ここで気をつけていただきたいのが、「搬送だけ」と「葬儀契約」は別物だという点です。

「いま搬送だけお願いしたい。葬儀社は家族で相談して後ほど決めます」とはっきりお伝えになって大丈夫です。搬送業者は葬儀契約を結ばなくても搬送だけ請けてくれるのが業界の標準です。

3〜6時間:自宅か安置施設かの判断

搬送先は、ご自宅と安置施設の2択です。

自宅安置と安置施設安置の二択分岐図解。左ノード『自宅安置』にはマンション・畳間の制約と冷蔵設備不要の注意点、右ノード『安置施設』には1日8000〜15000円の費用と24時間冷蔵管理の特徴を並列した比較図
ご遺体の安置先 — 自宅か施設かの判断
  • 自宅安置:和室があるご家庭、ご近所への配慮ができる環境なら可能。ドライアイスの手配が必要
  • 安置施設:マンション・集合住宅のご家庭、近隣への配慮が難しい場合に選ばれる。1日8,000〜15,000円程度

通夜まで2日以上空く場合は、ドライアイス代を考えると施設のほうが割安になることもあります。葬儀社にご相談されると、どちらが向いているかを助言してくれます。

40代の長男

マンション住まいでも自宅安置できますか?

お坊さん

管理規約と動線の確認が要りますね。

集合住宅の場合は、エレベーターのサイズや管理組合の規約で遺体搬入が事実上難しいこともあります。施設安置にしていただいたうえで、ご家族はお参りに通う形がいちばん負担が少ないです。

通夜までの48時間(葬儀社契約・寺院連絡・訃報)

50代の子世代

搬送のあと、通夜までに何をすればいいですか?

お坊さん

葬儀社契約・寺院連絡・訃報の3つです。

安置が済むと、通夜までの48時間は段取りの山場になります。やることは多いのですが、「葬儀社」「寺院」「訃報」の3軸に整理して進めれば、迷わずに動けます。

通夜までの48時間でやることを一覧化した図解。3列構成で『葬儀社軸(見積もり・契約・式場予約)』『寺院軸(菩提寺第一報・戒名相談・日程確定)』『訃報軸(喪主決定・訃報連絡・供花辞退の判断)』を並列に示した実務リスト
通夜までの48時間 — 3軸でやることを整理する

葬儀社契約 — 相見積もりを取る時間はある

「搬送だけ」を済ませた状態であれば、安置の翌朝までに葬儀社を決めれば十分間に合います。2〜3社の見積もり比較を取られるご家庭も少なくありません。費用の詳細な見方は別記事に譲ります。

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寺院連絡 — 菩提寺がある場合の第一報

菩提寺がある家庭で見落とされがちなのが、「葬儀社より先に寺院に連絡を入れる」順番です。寺院のご住職にも他のご葬儀や法務の予定があり、日程調整が早い方が双方にとってありがたいのです。

菩提寺への第一報の言い回し3文例カード図解。『電話冒頭の名乗り:◯◯家の長男◯◯と申します』『逝去報告:本日◯時に父が逝去いたしました』『日程相談:通夜と葬儀の日程についてご相談させていただきたく』を3枚の和紙風カードに並べた実用例
菩提寺への第一報 — 言い回し3文例

電話口でお伝えする内容はシンプルで十分です。

  • 名乗り:「◯◯家の長男(次男・娘)の◯◯と申します」
  • 逝去報告:「本日◯時に、父(母)が逝去いたしました」
  • 日程相談:「通夜と葬儀の日程について、ご相談させていただきたくお電話いたしました」

ご住職側は、葬儀の段取りに慣れていらっしゃいます。落ち着いてご報告いただければ、必要な確認はご住職から尋ねてくださいます。なお戒名のご相談はこの電話のあと、対面か別途のお電話で詰めるのが一般的です。

喪主・施主・世話役の役割分担

48時間のあいだに、ご家族のなかで役割を決める必要があります。

  • 喪主(もしゅ):葬儀の代表者。配偶者または長子が務めるのが一般的
  • 施主(せしゅ):費用を負担する立場。喪主と兼任が多いが、別の方が務めることもある
  • 世話役:受付・会計・進行のとりまとめ役。親族や近しい知人にお願いする

「喪主は必ず長男」という決まりはありません。配偶者が高齢で難しい場合や、子世代が複数いるご家庭では兄弟姉妹で相談して決められて差し支えありません。私のもとには「兄弟3人で喪主・施主・世話役を分担しました」というご家族もよくいらっしゃいます。

訃報連絡 — 家族葬では「供花辞退」もあわせて

家族葬の場合、訃報を伝える範囲を家族・親族のみに絞られるご家庭が多いです。職場や知人にお伝えする場合も、参列辞退・香典辞退・供花辞退をあわせて添えるのが一般的になっています。

このような文面を、メールやLINEで近しい方にお送りされるかたちで十分です。後日会葬礼状や四十九日明けの挨拶状でお礼を伝える機会もあります。

通夜の流れ(当日タイムテーブル)

40代の長男

通夜の当日は何時から動けばいいですか?

お坊さん

午後3時には式場入りいただきます。

通夜は18時から19時の開式が一般的です。読経・焼香・通夜振る舞いの順で進み、20時から21時には散会します。当日の流れを時間軸で見ていきます。

通夜当日のタイムテーブル図解。15時:式場入り・打ち合わせ/16時:受付準備・親族集合/18時:開式・僧侶入場・読経/18時30分:焼香/19時:閉式・通夜振る舞い/20〜21時:散会、を縦軸タイムラインで示した一覧
通夜当日のタイムテーブル(15時〜21時)

15〜17時:式場入りと打ち合わせ

ご家族は開式の2〜3時間前に式場入りされ、葬儀社のスタッフと最終確認を行います。読経の時間・焼香の順・お斎(とき)の人数などを詰めます。喪主は挨拶の確認もこの時間にしておかれると安心です。

僧侶も同じ時間帯に式場入りし、控室で式次第を確認します。お布施をお渡しするタイミングは、開式前のご挨拶のときが多いですが、葬儀社が「お布施は閉式後で構わない」と案内してくれることもあります。

18時:開式・読経・焼香

通夜は読経30〜40分・焼香10〜15分の流れが標準です。喪主から血縁の近い順に焼香へ進みます。

曹洞宗の焼香作法3ステップ図解。①遺族へ一礼・遺影へ合掌/②抹香を右手で軽くつまみ額の高さに押しいただいてから香炉へ落とす、これを2回/③合掌・一礼して席へ戻る、を3コマで示した作法解説
曹洞宗の焼香作法(3ステップ)

曹洞宗の焼香は、1回目は押しいただいて(額の高さまで上げて)、2回目はそのまま香炉へ落とすのが基本です。宗派によって作法は異なりますので、参列者には「お焼香の作法は、それぞれの宗派に沿っていただいて構いません」とお伝えしておかれると親切です。

19時:通夜振る舞い

読経・焼香が終わると、参列者に通夜振る舞い(つやぶるまい)のお席へ移動していただきます。

  • 形式:寿司・サンドイッチ・煮物などのオードブル形式が多い
  • 時間:30分〜1時間程度。長居せず、参列者が一通り口をつけて散会
  • 喪主の所作:席を回ってお礼を伝える。長話は控え、短くご挨拶を重ねる

家族葬では人数が少ないぶん、通夜振る舞いを近しい親族のみで囲むご家庭も増えています。お弁当配布だけにしてご自宅で召し上がるかたちでも問題ありません。

50代の子世代

通夜振る舞いを断っても失礼になりませんか?

お坊さん

事情を添えれば、まったく失礼になりません。

「コロナ以降、近しい方のみで」「高齢の親族が多いため」とご案内されれば、参列者の方も納得してくださいます。

告別式・出棺・火葬・骨上げ

50代の子世代

告別式と火葬は別の日になりますか?

お坊さん

同日に午前から午後で進みます。

告別式は通夜の翌日午前10〜11時に開式し、出棺・火葬・骨上げまでを一連の流れで行います。家族葬では、ここに参列するのは家族・親族のみという形が多いです。

告別式から出棺までの流れ図解。10時:開式・読経・焼香/11時:弔電紹介・最後の対面・別れ花/11時30分:閉式・出棺・霊柩車見送り、を横軸で並べた式次第図
告別式から出棺までの流れ

10時:開式・読経・焼香

告別式の読経は通夜と同じく30〜40分。焼香も家族・親族の順で進みます。式次第のあいだに弔電(ちょうでん)の紹介を入れることもあります。家族葬で参列者が少ない場合は、弔電紹介を省略するご家庭も増えています。

11時:別れ花と最後の対面

閉式の前に、棺のなかに別れ花を入れていただく時間があります。生花を一輪ずつ手渡しで棺に納め、ご家族から順にお別れをします。亡くなった方の好きだったものや、生前の写真を一緒に納めることもできます。ただし金属・ガラス・厚みのあるものは火葬に支障が出るため避ける必要があります。

ペースメーカーは火葬中に破裂する恐れがあるため、必ず葬儀社にお伝えください。火葬場側で取り扱いを変えてくださいます。

11時30分〜12時:出棺・霊柩車での移動

告別式が終わると、棺を霊柩車に乗せて火葬場へ向かいます。出棺の際は、喪主が位牌を、近親者が遺影を持つのが一般的です。霊柩車の運転手への心づけは、3,000〜5,000円を白封筒で渡される地域もあれば、葬儀社が「心づけ不要」と案内する地域もあります。

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12〜14時:火葬中の2時間

火葬は1時間半〜2時間かかります。そのあいだご家族は、火葬場の控室で精進料理(しょうじんりょうり)を囲んで待ちます。

火葬中2時間の控室の過ごし方図解。火葬炉前で見送り→控室移動→精進料理を囲む→故人の思い出話→骨上げの呼び出し、を縦5段で並べた流れ図
火葬中の控室での過ごし方

精進料理は、葬儀社が手配する仕出し弁当のかたちが多いです。家族葬では人数が少ないぶん、ご親族で故人の思い出話をゆっくり交わせる時間にもなります。

14時:骨上げ(こつあげ)の作法

火葬が終わると、係員に呼ばれて骨上げ室に移ります。骨上げは、亡くなった方の遺骨を箸で骨壺に納める儀式です。

骨上げの作法を示した図解。①二人一組で一つの骨片を箸で挟み骨壺へ/②足の骨から順に拾い、最後に喉仏(のどぼとけ)を喪主が納める/③蓋を閉めて骨壺を白布で包む、を3コマで示した儀式解説
骨上げの作法(二人一組・足から頭へ)
  • 二人一組:箸を持った2人が一つの骨片を挟み、骨壺へ納める
  • 足から頭へ:足の骨から順に拾い、生前の姿勢どおりに骨壺へ収める
  • 喉仏は喪主:最後に拾うのが「喉仏(のどぼとけ)」で、喪主が納めるのが慣習

骨上げは地域差が大きく、関東は全骨収骨(すべての骨を納める)、関西は部分収骨(主要な骨だけを納める)が一般的です。お住まいの地域の慣習は、葬儀社や火葬場の係員が丁寧に案内してくださいます。

還骨法要と初七日(繰り上げの現代慣習)

40代の長男

初七日って、本当は7日後にやるんですか?

お坊さん

今は火葬当日に繰り上げる家がほとんどです。

火葬を終えてご自宅または式場に戻ると、還骨法要(かんこつほうよう)初七日法要を続けて行います。本来は逝去から7日目に営むべき初七日を、火葬当日に繰り上げて営むのが現代の慣習になっています。

還骨法要と初七日の違いを示す図解。左『還骨法要:火葬後の遺骨を迎える法要』と右『初七日:逝去から7日目の法要』を並列に示し、現代は同日に繰り上げて1回の読経でまとめる慣習を矢印で表現した模式図
還骨法要と初七日 — 同日繰り上げの現代慣習

還骨法要と初七日の意味の違い

二つの法要は、もともと意味が異なります。

  • 還骨法要:火葬後にご遺骨を自宅または式場へ迎える法要。「お骨が戻ってきた」ことへの読経
  • 初七日法要:逝去から7日目に故人の冥福を祈る最初の法要。仏教では7日ごとに故人の魂が次の世界に移ると考える

本来は別日ですが、ご親族に2回集まっていただく負担を考えて、現代では火葬当日にまとめるのが一般的です。寺院のご住職に「繰り上げ初七日でお願いしたい」とお伝えすれば、ほとんどの寺院で対応してくださいます。

精進落とし

還骨法要・初七日のあとに、精進落とし(しょうじんおとし)のお席を設けるご家庭もあります。

  • 意味:四十九日まで肉や魚を控える「精進」を、ここで一度落とす儀礼
  • 形式:仕出し料理または料亭での会食。1人5,000〜8,000円程度
  • 現代の流れ:家族葬では省略するご家庭も増えている

「親族で食事を囲むのは四十九日法要のときにまとめて」と省略されるかたちでも、まったく失礼にはなりません。ご親族の体力や移動距離を考えて、無理のないかたちを選んでいただければと思います。

中陰期間の過ごし方(火葬翌日〜四十九日まで)

50代の子世代

四十九日まで、家ではどう過ごせばいいですか?

お坊さん

朝夕のお参りと、49日の準備です。

火葬の翌日から四十九日法要までの中陰(ちゅういん)期間は、仏教でいう「魂の行き先が定まるまで」の49日間です。ここでご家族が動かれるのは、自宅祭壇でのお参りと、四十九日法要・納骨のための準備の2つです。

中陰49日カレンダー図解。横軸を7日ごとに区切り、初七日(7日目)二七日(14日目)三七日(21日目)四七日(28日目)五七日(35日目)六七日(42日目)七七日=四十九日(49日目)の7つの節目を縦線でマークし、家族のお参りと法要省略の慣習を示した暦表
中陰49日カレンダー(7日ごとの節目)

自宅祭壇(中陰壇)の設え方

火葬から戻られると、葬儀社が中陰壇(ちゅういんだん)を一時的に設えてくれます。白木の祭壇に、ご遺骨・白木の位牌・遺影・お線香・お花・お水を供えるかたちです。

自宅祭壇の配置図解。中央に白木位牌、左に遺影、右に遺骨、手前に香炉・線香立て・花瓶・水・果物・湯呑、を上から見た平面図で示した配置例
自宅祭壇(中陰壇)の配置図

朝夕の灯明と線香を絶やさず、お花は7日ごとに替えるのがお参りの目安です。お水・お茶・ご飯は毎朝お供えされる方が多いですが、ご家族の負担にならない範囲で続けていただいて構いません。

七日ごとの法要は省略してよいか

仏教では本来、7日ごとに法要を営みます(初七日・二七日・三七日……七七日=四十九日)。けれど現代では、繰り上げ初七日と四十九日法要の2回に集約するご家庭がほとんどです。

  • 省略してよい節目:二七日〜六七日(家族のお参りのみで十分)
  • 必ず営む節目:初七日(繰り上げ)・四十九日

「省略してよろしいですか」と寺院のご住職にお尋ねされると、現代の事情に沿って「ご家庭でお参りを続けていただければ十分です」とお答えくださる寺院がほとんどです。

四十九日までに準備するもの

中陰期間に、ご家族が動かれる準備リストは次の4つです。

四十九日までの準備リスト図解。4ブロック構成で①本位牌(仏具店で2〜3週間)②お墓・納骨先(既存墓・新規・永代供養の判断)③香典返し(四十九日明けで手配)④四十九日法要会場(自宅or寺院or会館)、を四象限で並べた準備一覧
中陰期間にやる4つの準備
  • 本位牌:白木の位牌から塗りの本位牌へ。仏具店で2〜3週間かかるため、葬儀後すぐ依頼
  • お墓・納骨先:既存のお墓・新規・永代供養・樹木葬など、ご家族で相談して決める
  • 香典返し:四十九日明けに手配。半返し(香典の半額)が目安
  • 四十九日法要会場:自宅・寺院・斎場のどこで営むかを決定

本位牌は、戒名・俗名・没年月日・享年を彫っていただきます。戒名の確認はこの段階で寺院と詰めておきます。

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四十九日法要と納骨の儀

40代の長男

四十九日と納骨は同じ日でいいんですか?

お坊さん

同日が多いですが、別日でも構いません。

四十九日法要は逝去から49日目に営みます。「七七日(しちしちにち)」とも呼ばれ、故人の魂の行き先が定まる「忌明け」の節目です。多くのご家庭では、納骨もこの日にあわせて行います。

四十九日当日の流れ図解。10時:寺院到着・本位牌持参/10時30分:読経・焼香/11時:納骨の儀(墓地へ移動)/11時30分:本位牌開眼供養/12時:お斎(料亭または自宅)、を縦軸タイムラインで示した式次第
四十九日当日の流れ

寺院・会場の予約と準備

四十九日法要の日程は、逝去から49日目かそれより前の直近の土日で寺院と相談します。「平日は親族が集まれないので前倒しさせていただきたい」というかたちも一般的です。49日目を過ぎての先送りは、できれば避けるのが慣習です。

会場は、自宅・寺院本堂・斎場の3つから選びます。納骨をあわせる場合は墓地に近い寺院での法要が動きやすいです。

当日の流れ

10時開式とすると、おおよそ次の流れです。

  • 10時:寺院到着・本位牌と白木位牌を持参
  • 10時30分:読経・焼香(30〜40分)
  • 11時:墓地へ移動・納骨の儀
  • 11時30分:本位牌の開眼供養(魂入れ)
  • 12時:お斎(とき)— 料亭・自宅・寺院会館での会食

ご親族にお越しいただく場合は、引き出物(1人3,000〜5,000円程度)を用意するご家庭が多いです。

納骨の儀の手順

納骨は、ご遺骨をお墓・納骨堂・永代供養墓などに納める儀式です。

納骨の儀の手順図解。①墓前で僧侶が読経/②カロート(納骨室)の蓋を石材店が開ける/③喪主が骨壺を納める/④参列者全員で焼香/⑤石材店が蓋を閉めて終了、を5段縦に並べた手順図
納骨の儀の手順
  • 読経:墓前で僧侶が読経(10〜15分)
  • カロート開封:石材店が納骨室の蓋を開ける(事前手配が必要)
  • 納骨:喪主が骨壺を納める
  • 焼香:参列者全員で焼香
  • 閉封:石材店が蓋を閉めて終了

石材店の手配は寺院または葬儀社が案内してくれます。費用は2〜5万円が目安です。納骨堂・永代供養墓の場合は、寺院または霊園の管理者が手順を案内してくださいます。

百ヶ日と忌明けの意味

四十九日法要を終えると、仏教では忌明けとされます。さらに逝去から100日目には、百ヶ日法要(卒哭忌・そっこくき)を営むご家庭もあります。

  • 卒哭忌:「声をあげて泣くことを卒業する」の意。悲しみとの距離をとり始める節目
  • 現代の慣習:四十九日と一周忌のあいだに、家族のみで簡素に営むご家庭が多い
  • 省略の判断:四十九日と一周忌で十分とされ、百ヶ日は省略するご家庭も増えている

百ヶ日を独立して営まれる場合は、寺院での読経のみ(20〜30分・お布施1〜3万円)とされるのが目安です。

各場面のお布施・心づけ目安一覧

50代の子世代

お布施って、いつ何回お渡しすればいいですか?

お坊さん

通夜葬儀・四十九日・百ヶ日の3回が基本です。

家族葬の流れのなかで、ご家族が金銭をお渡しする場面はいくつか重なります。通夜・葬儀のお布施だけでなく、火葬場の心づけや四十九日のお布施まで含めて、全体像を一枚にまとめておきます。

お布施・心づけ目安の横並び表図解。場面ごとに『通夜葬儀のお布施 15〜50万円』『戒名料 10〜80万円超(信士信女〜院号)』『火葬場運転手心づけ 3000〜5000円』『四十九日法要お布施 3〜5万円』『納骨法要お布施 1〜3万円』『百ヶ日法要お布施 1〜3万円』を金額帯で示した一覧表
家族葬の各場面のお布施・心づけ目安

通夜・葬儀のお布施

通夜と葬儀の読経をお願いするお布施は、菩提寺の有無・宗派・戒名のランクによって幅があります。

  • 通夜・葬儀の読経料15〜50万円が中心帯
  • 戒名料(含まれることが多い):信士・信女で10〜40万円、居士・大姉で50〜80万円、院号で80万円以上
  • お渡しのタイミング:通夜の開式前または葬儀の閉式後

お渡しの際は、白封筒に「御布施」と表書きし、袱紗(ふくさ)に包んで渡されます。中袋の金額は旧字体(壱・弐・参)で書くのが伝統ですが、近年は通常の数字でも差し支えありません。

火葬場での心づけ

霊柩車・マイクロバスの運転手、火葬場の係員への心づけは、地域差が大きい場面です。

  • 霊柩車運転手:3,000〜5,000円(地域によっては不要)
  • マイクロバス運転手:3,000〜5,000円
  • 火葬場係員:1,000〜3,000円(公営火葬場は受け取らない決まりの自治体が多い)

葬儀社に「この地域は心づけが必要ですか」とお尋ねされると、はっきり案内してくださいます。公営火葬場では原則受け取らないところが多いので、無理に渡す必要はありません

四十九日・納骨・百ヶ日のお布施

四十九日法要以降のお布施は、通夜葬儀よりも控えめな金額帯になります。

  • 四十九日法要:3〜5万円(読経1回分)
  • 納骨法要(同日の場合):四十九日に含めるか、別途1〜3万円
  • 百ヶ日法要:1〜3万円
  • 本位牌の開眼供養:1〜3万円(四十九日と同日なら含める)

「四十九日と納骨と開眼供養を一日で営む」場合のお布施は、5〜10万円を一括でお渡しされるのが一般的です。寺院のご住職に「本日まとめてお願いいたします」と一言添えていただければ、ご住職側も無理に分けることはなさいません。

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困ったときに頼れる相談先(住職目線)

40代の長男

菩提寺もないし、誰に相談すればいいでしょうか?

お坊さん

役場と葬儀社、両方を頼ってください。

「家族葬の流れ」で迷われたとき、ご家族だけで抱え込まずに頼れる相談先を整理しておきます。菩提寺・市町村役場・葬儀社の3つを用途ごとに使い分けるのが安心です。

困ったときの相談先マップ図解。中央『ご家族』を取り囲む形で『菩提寺:宗教的な相談・戒名・法要日程』『市町村役場:死亡届・火葬許可・葬祭費補助』『葬儀社:実務的段取り・見積もり・斎場手配』の3つを三角配置した相談先一覧
困ったときの相談先マップ(菩提寺・役場・葬儀社)
  • 菩提寺:法要日程・戒名・本位牌・納骨先など宗教的な相談
  • 市町村役場:死亡届の提出・火葬許可証・葬祭費(国民健康保険3〜7万円、地域差あり)
  • 葬儀社:搬送・式場・斎場・霊柩車・仕出し料理など実務的な手配

特に葬祭費の請求は見落とされがちです。国民健康保険の加入者・後期高齢者医療制度の加入者が亡くなられた場合、申請すれば3〜7万円の補助が受けられます。申請期限は葬儀を行った日の翌日から2年以内とされる自治体が多く、四十九日明けに動かれても十分間に合います。

相談の前に手元に用意しておくとよいもの

役場や葬儀社に相談される際、次のものが手元にあると手続きがスムーズです。慌てて探さずに済むよう、ご逝去後の早い段階でひとまとめにしておかれると安心です。

  • 死亡診断書の原本とコピー:火葬許可・年金停止・保険手続きで何度も使う
  • 故人の健康保険証:葬祭費の申請に必要。後期高齢者医療被保険者証の場合も同様
  • 故人の年金手帳・年金証書:年金停止と未支給年金の請求に使う
  • 喪主の身分証明書と印鑑:役場での各種届け出に必要
  • 故人の通帳・キャッシュカード:口座凍結前の確認と、相続手続きの準備に

これらは「いつか使うもの」ではなく、逝去から2週間以内に動く手続きで実際に求められるものばかりです。葬儀の慌ただしさが落ち着く前に、ご家族のどなたかが一箇所にまとめておかれると、後の負担が大きく変わります。

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よくある質問

よくあるご質問

Q 通夜と告別式、両方参列しないと失礼ですか?
A

家族葬では、家族・親族はどちらにも参列されるのが原則です。 近しい知人の場合は、告別式のみのご参列が一般的になっています。 最近は通夜のみ・告別式のみのご参列でもご遺族側で気にされない傾向にあります。

Q 還骨法要と初七日はなぜ同じ日にするのですか?
A

本来は逝去から7日目に営む初七日ですが、ご親族に2回集まっていただく負担を軽減するため、火葬当日に繰り上げて営む「繰り上げ初七日」が現代の慣習になっています。 寺院のご住職にお伝えすればほとんどの寺院で対応してくださいます。

Q 自宅で安置できない場合、安置施設の費用相場は?
A

1日あたり8,000〜15,000円程度が目安です。 通夜まで3日預けると3万円前後になります。 ドライアイス代を考えると、自宅安置と費用差が小さいご家庭もあるので、葬儀社にご相談されると判断しやすいです。

Q 四十九日と納骨は必ず同日にするものですか?
A

同日が一般的ですが、お墓の準備が間に合わない場合は百ヶ日法要や一周忌のときに納骨を分けても差し支えありません。 納骨堂・永代供養墓を新たに契約される場合は、契約から納骨可能日までに1〜2ヶ月かかることもあるため、四十九日に間に合わなければ無理に急がれる必要はありません。

Q 中陰期間中、自宅祭壇のお参りはどう続けますか?
A

朝夕の灯明と線香をあげ、お花は7日ごとに替えるのが目安です。 お水・お茶・ご飯は毎朝お供えされるご家庭が多いですが、ご家族の負担にならない範囲で構いません。 寺院による読経は省略しても問題ありません。

Q 本位牌はいつまでに用意しますか?
A

四十九日法要の前日までに、塗りの本位牌をご用意ください。 仏具店で2〜3週間かかるため、葬儀後すぐに発注されると安心です。 戒名・俗名・没年月日・享年を彫っていただきます。

Q 火葬場の運転手への心づけは必要ですか?
A

地域差があります。 3,000〜5,000円が相場ですが、葬儀社が「この地域は心づけ不要」と案内する地域もあります。 公営火葬場では原則受け取らない自治体が多いので、無理に渡される必要はありません。 葬儀社に確認していただくのがいちばん確実です。

Q 喪に服す期間はいつまでですか?
A

仏教的には四十九日で忌明けとされます。 世俗的な喪中は一年間(一周忌まで)が目安で、年賀状を控えたり、慶事への参列を控えたりするのが慣習です。 ご家族のお気持ちに合わせて、ゆっくり日常へ戻られて構いません。

Q 百ヶ日と四十九日は何が違うのですか?
A

四十九日は「忌明け」で、故人の魂の行き先が定まる節目です。 百ヶ日は「卒哭忌(そっこくき)」と呼ばれ、声をあげて泣く日々から少しずつ離れる節目です。 現代では百ヶ日を省略するご家庭も多く、四十九日と一周忌で十分とされる流れになっています。

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僧侶歴 10年以上 関わったご家族 数百件 終活・葬儀・墓じまい

終活・葬儀・お墓のこと、そして日々の整え方を、檀家さんと向き合ってきた経験からお伝えしています。聞きにくいことを正直に、難しいことをやわらかく。

※プロフィール画像は本人写真の代わりに、お坊さんを表すイラストを使用しています。記事内容は実体験に基づくものですが、ご相談者の特定を避けるため、地名・寺院名は伏せています。

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