\お坊さんが伝える/ 親が終活してくれない悩みへの5つの切り出し方
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家族葬で香典は辞退すべき?受け取る場合の相場とお返しまでお坊さんが解説

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お坊さん(僧侶歴10年以上)

数百件のご家族と向き合ってきた経験から、終活・葬儀・墓じまいの悩みにお応えします。

家族葬で香典は辞退すべき?受け取る場合の相場とお返しまでお坊さんが解説

「親の家族葬を考えているけれど、香典って受け取っていいのだろうか」。

いま家族葬を控えていらっしゃる方が、判断に迷われるところのひとつ。

それが香典の扱いだと思います。

「家族葬 香典」と検索される方には、実は二つのお立場が混ざっています。

ひとつは、ご家族を見送る喪主側のお立場。

受け取るか辞退するか、辞退の伝え方、受け取った場合のお返しなど、です。

もうひとつは、家族葬に呼ばれた参列する側のお立場。

香典を持っていくべきか、辞退と言われたらどうするか、というお悩みです。

この記事は、前半を喪主の方へ後半を参列する側になったときの話として整理しました。

曹洞宗の住職として、葬儀から四十九日、年忌法要までご家族に寄り添ってきました。

その現場の目線で、香典をめぐる迷いをひとつずつほどいていきます。

※ この記事は最後まで読まなくてかまいません。いまのお立場に当てはまる章だけ、お読みください。

最終更新: 2026-05-15

家族葬の香典 — 辞退も受領も「正解」、まず方針を決める

50代の子世代

家族葬って、香典は受け取らないものなんでしょうか?

お坊さん

決まりはありません。辞退するご家庭も、受け取るご家庭もあります。

「家族葬では香典を辞退するのが普通」という言葉をよく耳にされるかもしれません。

けれど実際には、辞退されるご家族も、受け取られるご家族も、どちらもいらっしゃいます。

どちらを選んでも間違いではありません

大切なのは、ご家族のなかで方針を先に決めて、それを訃報をお伝えする時点ではっきり伝えることです。

家族葬の香典をどうするかの全体地図。中央に『香典をどうする?』の問いを置き、左に『辞退する』ルート(訃報に辞退と明記→当日持参された方へ後日お返し)、右に『受け取る』ルート(訃報には書かない→関係性別の金額が集まる→四十九日後に香典返し)の2本に枝分かれする意思決定の地図
家族葬の香典 — 辞退と受領、2つのルートの全体地図

方針を「先に」決めることが、いちばん大切

香典をめぐるトラブルの多くは、金額そのものではなく「伝わっていなかった」ことから起きます。

喪主は辞退のつもりだったのに参列者に伝わっておらず、当日になって受付であわてる。

あるいは受け取る方針だったのに、親族の一部だけが「家族葬だから不要だろう」と判断してしまう。

こうした行き違いは、訃報の段階でひと言添えるだけで防げます。

この記事では、まず受け取るか辞退かをどう決めるか(次の章)をご一緒に整理します。

そのうえで、辞退する場合の実務、受け取る場合の実務へと進みます。

ご自身がいまどちらに傾いているかが見えていれば、必要な章だけを読んでいただいて構いません。

まず考えたい、たった一つのこと

迷われたときに、最初に考えていただきたいのはこの一点です。

「香典返しの手間を担えるご家族がいるか」

受け取れば、四十九日のあとに香典返しの品を選び、挨拶状を添えて送る作業が必ず生まれます。

それを担える方がご家族にいらっしゃるなら受け取る道があり、葬儀後の負担をできるだけ減らしたいなら辞退する道があります。

判断の物差しは次の章でくわしく見ていきます。

受け取る?辞退する? — 判断の物差し5つ

40代の長男

うちはどちらにすればいいのか、決められなくて…。

お坊さん

5つの目線で考えると整理できますよ。順に見ていきましょう。

香典を受け取るか辞退するかは、ご家庭の事情によって答えが変わります。

「正解」をひとつに絞るのではなく、次の5つの物差しに当てはめて、ご家族で話し合っていただくのがいちばんです。

香典を受け取るか辞退するかを決める5つの判断の物差しを示した図。①香典返しの手間を担える人がいるか ②参列くださる方に気を遣わせないか ③故人の遺志はどうだったか ④葬儀費用の負担をどう考えるか ⑤親族や地域の慣習との折り合い、の5項目をそれぞれアイコンと短い説明つきで縦に並べた一覧
香典を受け取るか辞退するか — 判断の物差し5つ

物差し1 — 香典返しの手間を担える人がいるか

最も大きな物差しです。

香典を受け取れば、四十九日明けに香典返しの品を選び、挨拶状を添えて一軒ずつお送りする作業が生まれます。

喪主おひとりに集中しがちなこの作業を、ご家族で分担できるか。

難しいようなら、辞退して負担を軽くする選択が現実的です。

物差し2 — 参列くださる方に気を遣わせないか

家族葬に来てくださる方は、ごく近しい間柄の方ばかりです。

「香典を用意すべきか」と相手に悩ませてしまうのが心苦しい。

そう感じられるなら、辞退をはっきり伝えるのも思いやりです。

物差し3 — 故人の遺志はどうだったか

生前に「香典は遠慮したい」「お返しが大変だから受け取らないでほしい」とおっしゃっていた場合。

その思いを尊重されるご家族が多いです。エンディングノートに書き残されていることもあります。

物差し4 — 葬儀費用の負担をどう考えるか

香典には、もともと葬儀の費用をみんなで支え合うという意味があります。

受け取れば、その分だけご家族の実質的な負担は軽くなります。

辞退すれば負担はそのまま残ります。

家族葬であっても費用は決して小さくありませんので、現実的な目線も大切です。

物差し5 — 親族や地域の慣習との折り合い

「身内の葬儀で香典を出すのは当たり前」という考えの親族や地域もあります。

喪主が辞退したくても、親族のあいだでは受け渡しが起きることが珍しくありません。

完全に辞退を貫くのか、親族からは受け取るのか、線引きを家族で決めておくと迷いません。

「全部辞退」「全部受領」だけではない

香典の方針は、「すべて辞退」か「すべて受け取る」かの二択だけではありません。

実際には、その中間の形を選ばれるご家庭が、たくさんいらっしゃいます。

香典の方針は3つの形から選べることを示した図。左『すべて辞退』(誰からも受け取らない。お返しの手間がなく、参列者にも気を遣わせない)、中央『親族からのみ受け取る』(身内のお気持ちは頂戴し、友人・職場からは辞退する。家族葬で最も選ばれる中間の形)、右『すべて受け取る』(葬儀費用を支え合う。お返しの手間は生まれる)。中央の形を大きく強調して3つを横に並べた選択肢の図
香典の方針は3つの形から選べる(中間の形がよく選ばれます)

最も多いのが、「親族からはお気持ちとして頂戴し、それ以外の方からは辞退する」という中間の形です。

親族の「身内だから包みたい」というお気持ちを受け止めつつ、ご友人や職場の方には気を遣わせない。

家族葬の実情に合った、現実的な落としどころです。

葬儀費用そのものの目安や、香典を受け取った場合に実質負担がどう変わるかは、費用の記事でくわしく整理しています。

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香典を辞退する場合 — 訃報での伝え方と当日の対応

50代の子世代

辞退するって、どう書けば失礼にならないですか?

お坊さん

「故人の遺志により」と一言添えるのが、角が立ちません。

香典を辞退すると決めたら、訃報をお伝えする時点で、はっきり文面に書いておくことがいちばん大切です。

口頭だけ、あるいは一部の方にだけ伝わっている状態だと、当日の受付で行き違いが起きてしまいます。

香典辞退の訃報文例カード。和紙風の枠のなかに『誠に勝手ながら、故人の遺志により、ご香典・ご供物・ご供花の儀は固くご辞退申し上げます。皆様のお気持ちのみ、ありがたく頂戴いたします』という定型文を大きく示し、下に『供花・供物もあわせて辞退するかは家族で決める』『口頭ではなく必ず文面で伝える』の2つの注意点を添えた文例カード
香典辞退の訃報文例(そのまま使える定型文)

訃報に書く辞退の文例

訃報のメールやお手紙に、次のような一文を添えます。

やわらかく、それでいてはっきり伝わる定型文です。

「故人の遺志により」という言葉を添えると、喪主の都合ではなく故人の願いとして伝わるため、相手も受け入れやすくなります。

香典だけを辞退するのか、供花や供物もあわせて辞退するのかは、ご家族で決めてから書いてください。

香典は辞退して供花は受け取る、という形も可能です。

当日それでも持参された方への対応

辞退と伝えていても、当日に香典を持ってきてくださる方は必ずいらっしゃいます。

長年のお付き合いのなかで「やはり包まないと気が済まない」という方のお気持ちです。

香典辞退を伝えたのに当日持参されたときの対応手順を3段で示した図。手順1『一度は丁重にお断りする — 辞退している旨をやわらかく伝える』、手順2『それでもとおっしゃる場合は、ありがたく頂戴する — その場で固辞し続けない』、手順3『受け取った方を記録し、後日あらためてお返しを送る』。下部に『その場で突き返すのは失礼にあたる』という注意書きを添えた対応フロー
辞退を伝えたのに当日持参されたとき — 3つの対応手順

このときの対応は、次の流れが一般的です。まず受付で一度は丁重にお断りします。

それでも「どうしても」とおっしゃる場合は、お気持ちをありがたく頂戴します。

そして受け取った方を記録しておき、後日あらためてお返しを送るのです。

辞退していても、受け取った以上はお返しをするのが礼儀です。

受付を担当される方には、あらかじめお願いしておくと安心です。

「もし持ってこられたら、一度お断りして、それでもという方からはお預かりして記帳してください」と。

香典を受け取る場合 — 関係性別の金額の目安

40代の長男

香典って、だいたいいくら包まれるものなんでしょう?

お坊さん

ご関係で幅があります。早見表でご一緒に見ていきましょう。

香典を受け取る方針にした場合、喪主側もどのくらいの金額が包まれるのかの目安を知っておくと安心です。

香典返しの準備がしやすくなります。

香典の金額は、故人との関係の近さと、包む方の年代でおおよそ決まります。

関係性別の香典金額の目安を示した早見表。縦軸に関係性(自分の親/兄弟姉妹/祖父母/おじ・おば/その他の親戚/友人・知人/職場関係/ご近所)、横軸に金額の目安レンジを置き、自分の親5〜10万円、兄弟姉妹3〜5万円、祖父母1〜3万円、おじ・おば1〜3万円、その他の親戚5千〜3万円、友人・知人5千〜1万円、職場関係3千〜1万円、ご近所3千〜5千円と帯グラフで示した一覧表。下部に『年代が上がるほど高めになる傾向』『地域差あり』『出典:鎌倉新書・全日本冠婚葬祭互助協会の調査をもとに作成』と明記
関係性別の香典金額の目安(年代・地域で幅があります)

関係性別の金額の目安

全国的な調査をもとにすると、香典の金額の目安はおおむね次のとおりです。

あくまで幅のある目安で、地域や包む方の年代によって上下します。

  • 自分の親:5万〜10万円
  • 兄弟姉妹:3万〜5万円
  • 祖父母:1万〜3万円
  • おじ・おば:1万〜3万円
  • その他の親戚:5千〜3万円
  • 友人・知人:5千〜1万円
  • 職場関係:3千〜1万円
  • ご近所:3千〜5千円

家族葬は、ごく近しい間柄の方が中心に集まります。

そのため一人あたりの金額は、一般葬よりもやや高めになりやすい傾向があります。

包む側の年代が上がるほど金額も上がりやすく、たとえば同じ「友人」でも、20代と60代では目安が変わってきます。

包み方の作法も知っておくと安心

受け取る側であっても、香典の包み方の作法を知っておくと役立ちます。

参列される方への案内や、ご自身が参列する立場になったときの備えになります。

香典の包み方の基本作法を4つのポイントで示した図。①お札は新札を避け、やむを得ず新札の場合は一度折り目をつける ②金額は『4』と『9』を避ける(死・苦を連想させるため) ③表書きは薄墨で『御霊前』『御香典』など宗派に応じて ④お札の向きは顔を伏せて袋に入れる、の4項目をそれぞれ封筒のイラストつきで並べた作法解説図
香典の包み方 — 知っておきたい4つの作法

香典の包み方には、昔から受け継がれてきた作法があります。

お札は新札を避けるのが基本です。

新札は「あらかじめ準備していた」という印象を与えるためで、やむを得ず新札しかない場合は一度折り目をつけます。

金額は「4」と「9」を避けるのが慣わしです。

死や苦を連想させるためで、3千円・5千円・1万円・3万円といった数字が選ばれます。

表書きは、四十九日より前は薄墨で書くのが伝統です。

「悲しみの涙で墨が薄まった」という心を表すとされます。

表書きの言葉は宗派によって異なり、迷われたときは「御香典」とすればほとんどの宗派で差し支えありません。

香典返しの考え方 — 半返しの目安・品物・お渡しする時期

50代の子世代

お返しって、いくらのものを返せばいいんですか?

お坊さん

いただいた額の半分が目安です。「半返し」と覚えてください。

香典を受け取ったら、必ず必要になるのが香典返しです。

いただいたお気持ちへのお礼として、品物を選んでお送りします。

考え方はそれほど難しくありません。

金額の目安・品物・お渡しする時期の3点を押さえれば十分です。

香典返しの流れを4ステップで示した図。ステップ1『金額を決める — いただいた香典の3分の1〜半分が目安(半返し)』、ステップ2『品物を選ぶ — お茶・海苔・タオル・洗剤・品物を選べる贈り物など、後に残らないものが定番』、ステップ3『四十九日法要のあと(忌明け)に発送する』、ステップ4『挨拶状を添える — 香典のお礼と忌明けの報告』。左から右への横一列の流れ図
香典返しの流れ — 金額・品物・時期・挨拶状の4ステップ

金額の目安は「半返し」

香典返しの金額は、いただいた香典の3分の1から半分が目安です。

これを昔から「半返し」と呼びます。

たとえば1万円をいただいたら、3千円から5千円ほどの品をお返しします。

高額の香典をくださった親族には、すべてを半返しにすると相手に気を遣わせてしまうため、3分の1程度に抑えることもあります。

定番の品物

香典返しの品は、後に残らないものが選ばれます。

「悲しみを後に残さない」という意味が込められているためです。

  • お茶・海苔・お菓子:昔ながらの定番。日持ちもする
  • タオル・洗剤・石けん:実用品で、どなたにも喜ばれやすい
  • 品物を選べる贈り物(カタログギフト):相手が好きな品を選べる。近年とくに増えている
香典返しの定番の品物を分類して示した図。『食べ物・飲み物(お茶・海苔・お菓子・コーヒー — 日持ちし、消えてなくなる)』『日用品(タオル・洗剤・石けん — どなたにも喜ばれる実用品)』『品物を選べる贈り物(カタログギフト — 相手が好きな品を選べる)』の3分類を、それぞれ品物のイラストと特徴つきで並べ、下部に『後に残らないもの=悲しみを後に残さない、という意味が込められている』と添えた一覧図
香典返しの定番の品物 — 後に残らないものを選ぶ

お渡しする時期と挨拶状

香典返しは、四十九日法要のあと(忌明け)にお送りするのが基本です。

四十九日を終えたという区切りのご報告も兼ねているためです。品物には必ず挨拶状を添えます。

香典へのお礼と、四十九日を無事に終えた旨をお伝えする短いお手紙です。

なお、葬儀の当日にその場でお返しをお渡しする「当日返し」という方法もあります。

会葬御礼の品とあわせて一律の品をお渡しし、後日の発送の手間を省くやり方です。

ただし高額の香典をいただいた方には、後日あらためて差額分をお送りします。

家族葬では人数が少ないため、四十九日後にまとめてお送りするご家庭が多いです。

香典返しのタイミングは、四十九日法要や納骨の流れと深くつながっています。

葬儀から四十九日までの全体の流れは、こちらの記事で時間軸に沿って整理しています。

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会社・職場への対応 — 香典を辞退するときの伝え方

40代の長男

会社にはどう伝えれば、角が立たないですか?

お坊さん

「家族葬で執り行うため」と理由を添えれば十分です。

家族葬で香典を辞退する場合、悩ましいのが会社や職場への伝え方です。

故人の勤務先、あるいは喪主自身の勤務先に、参列と香典をどうお願いするか。

ここは「お休みの連絡」と「辞退の連絡」を分けて考えると整理しやすくなります。

会社・職場への連絡の文例カード。和紙風の枠に『このたび父(母)が逝去いたしました。葬儀は家族葬で執り行いますので、誠に勝手ながらご弔問・ご香典・ご供花は辞退させていただきます。つきましては○月○日まで忌引き休暇をいただきたくお願い申し上げます』という定型文を示し、下に『忌引きの連絡は必要』『香典辞退は理由を添えて』の2点を添えた文例カード
会社・職場への連絡文例(忌引きと辞退をあわせて伝える)

忌引きの連絡は必要、辞退は理由を添えて

喪主自身が働いている場合、忌引き休暇の連絡は必ず必要です。

これは辞退とは別の話で、お休みをいただくための報告です。

そのうえで、「家族葬で執り行うため、弔問・香典・供花は辞退させていただきます」と理由を添えます。

そうすれば、会社の方も参列を前提とせず、報告として受け止めてくださいます。

職場の規定によっては、忌引き休暇の申請に死亡診断書のコピーが必要なこともあります。

人事の担当者に確認しておくと安心です。

弔慰金は香典とは別のもの

ここで知っておいていただきたいのが、会社からの弔慰金です。

香典を辞退しても、弔慰金は受け取って差し支えありません。

弔慰金と香典の違いを左右で対比した図。左側『香典』は『個人から個人へのお悔やみのお金。辞退すれば受け取らない』、右側『弔慰金』は『会社の制度として支給されるお金。香典辞退とは関係なく受け取ってよい。就業規則で金額が定められていることが多い』と説明。中央に『別のものとして考える』という矢印を置いた対比図
弔慰金と香典は別のもの — 辞退しても弔慰金は受け取れる

香典は個人から個人へのお悔やみのお気持ちです。

一方、弔慰金は会社の制度として支給されるお金で、就業規則で金額が定められていることが多いものです。

性質がまったく違うため、香典を辞退していても弔慰金は受け取って構いません。

「香典は辞退したのに弔慰金を受け取っていいのだろうか」と迷われる方が多いのですが、別のものとお考えください。

なお、会社から支給される弔慰金には、税金の面でも一定の配慮があります。

こまかな扱いはお勤め先や税務署にご確認いただくのが確実です。

親族への対応 — 「辞退」が伝わらず揉めないために

50代の子世代

親戚には香典辞退って、言いにくくて…。

お坊さん

親族こそ、先にひと声かけておくのが大切です。

香典をめぐる行き違いが、いちばん起きやすいのが親族とのあいだです。

親族の方は「身内なのだから香典を包むのは当然」と考えていらっしゃることが多いものです。

喪主が辞退の方針でいても、その意図が伝わらないまま当日を迎えてしまうことがあります。

親族の香典をめぐるよくある行き違い3つと、その回避策を示した図。行き違い1『辞退を知らずに香典を持参 → 訃報とは別に、親族には電話でひと声添える』、行き違い2『兄弟のあいだで対応がバラバラ → 兄弟間で方針を先に揃える』、行き違い3『地域や家の慣習とぶつかる → 年長の親族に相談してから決める』。左に行き違い、右に回避策を矢印でつないだ3組の対比図
親族の香典をめぐる、よくある行き違い3つと回避策

親族には、訃報とは別に「ひと声」を

訃報の文面に辞退と書いていても、親族の方にはそれとは別に、電話などで直接ひと声添えておくことをおすすめします。

「このたびは家族葬で、香典も辞退させていただこうと思っています。

お気持ちだけありがたく頂戴します」と、やわらかくお伝えしておくのです。

文面だけだと「形式的に書いてあるだけだろう」と受け取られ、結局当日に持参されることが少なくありません。

兄弟のあいだで方針を揃えておく

子世代が複数いるご家庭では、兄弟姉妹のあいだで方針を先に揃えておくことが大切です。

長男は辞退のつもり、次男は受け取るつもり——。

食い違っていると、親族から見て「あの家はどうなっているのか」と映ってしまいます。

喪主を中心に、葬儀の早い段階で「香典はこうしよう」と決めておいてください。

地域や家の慣習とぶつかったら

「この地域では身内の香典は必ず出すものだ」という慣習が根強く残っている場合もあります。

喪主の考えだけで押し切ると、あとあとの親戚付き合いにしこりが残ることもあります。

そうしたときは、年長の親族にあらかじめ相談してから方針を決めると、角が立ちません。

「親族からはお気持ちとして頂戴し、それ以外は辞退する」という中間の形に落ち着くご家庭も多いです。

親の葬儀では、香典以外にも兄弟での分担や喪主の役割など、家族で決めることが重なります。

葬儀全体の段取りは、こちらの記事で整理しています。

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家族葬に呼ばれたら — 香典は持参すべき?

親族・知人の立場の方

家族葬に呼ばれたんですが、香典は持っていくべきでしょうか?

お坊さん

ここからは、参列する側になったときのお話です。

ここからは、お立場が変わります。

あなたが家族葬に参列する側になったときの話です。

家族葬に呼ばれたとき、香典を持っていくべきかどうかは、訃報に辞退の記載があるかどうかで見分けます。

家族葬に参列する側が香典を持参すべきか判断する流れ図。出発点『家族葬に呼ばれた』から、最初の問い『訃報に香典辞退の記載がある?』へ。『ある』なら→持参しない(お気持ちだけ伝える)。『ない』なら次の問い『関係性から見て包むのが自然?』へ。『はい』なら→持参する。『迷う』なら→喪主や案内をくれた方にひと言確認する。という3つの分岐を矢印でつないだ判断フロー
家族葬に呼ばれたとき — 香典を持参すべきかの見分け方

訃報に「辞退」とあれば、持参しない

訃報のお知らせに「ご香典は辞退申し上げます」といった記載があれば、香典は用意しません

これは喪主側がはっきり方針を示している証ですので、その意向を尊重するのが礼儀です。

無理にお持ちすると、かえって喪主に気を遣わせ、お返しの手間まで生んでしまいます。

記載がなければ、持参するのが基本

訃報に辞退の記載がなければ、香典を用意していくのが基本です。

金額の目安は、前半でご紹介した関係性別の早見表をご参照ください。

家族葬は近しい間柄の集まりですので、一般葬よりやや厚めを意識される方が多いです。

迷ったら、ひと言確認してよい

「辞退とは書いていないけれど、家族葬だから不要かもしれない」と迷われたとき。

喪主や、案内をくださった方にひと言確認して構いません。

「ご香典はご用意したほうがよろしいでしょうか」と尋ねるのは、失礼にはあたりません。

むしろ、当日に行き違いが起きるより、よほど丁寧な対応です。

辞退と言われたとき・参列できないときの心づかい

親族・知人の立場の方

香典辞退と言われましたが、何もしないのは気が引けます。

お坊さん

お気持ちは、弔電やお供えでも十分に伝わりますよ。

「香典は辞退」と言われたとき、あるいは家族葬に呼ばれず後から訃報を知ったとき。

「このまま何もしないのは申し訳ない」というお気持ちは、とても自然なものです。

けれど、お悔やみの心を伝える方法は、香典だけではありません。

香典を辞退されたとき・参列できないときに、お悔やみの気持ちを伝える4つの方法を示した図。①弔電を送る(葬儀に間に合うように手配) ②供花・供物を送る(ただし辞退の対象に含まれていないか確認) ③後日あらためて弔問する(四十九日を過ぎた頃、遺族に連絡してから) ④お悔やみの手紙を送る(短くても心のこもった文面で)。4つをそれぞれアイコンと短い説明つきで2列2行に並べた一覧
辞退されたとき・参列できないとき — 気持ちを伝える4つの方法

香典以外の、4つの伝え方

香典を辞退されたとき、お悔やみの心は次のような形で伝えられます。

  • 弔電を送る:葬儀に間に合うように手配します。短くても心のこもった言葉が届きます
  • 供花・供物を送る:ただし訃報で供花も辞退されている場合があるため、対象に含まれていないか確認してから
  • 後日あらためて弔問する:四十九日を過ぎた頃、ご遺族に連絡してからお伺いします
  • お悔やみの手紙を送る:直接の言葉として、いちばん心が伝わる方法のひとつです

辞退されているのに、香典を郵送するのは控える

ときどき、「辞退と言われたけれど、どうしても」と香典を郵送される方がいらっしゃいます。

お気持ちはよくわかるのですが、これは原則として控えてください。

喪主は辞退の方針を立てているのに、郵送で届くと受け取らざるを得ず、お返しの手間まで生まれてしまいます。

喪主の意向を尊重することが、いちばんの心づかいです。

家族葬に呼ばれず、後から訃報を知ったとき

家族葬は参列の範囲を絞るため、後日になって訃報を知ることもあります。

そのときは、まずご遺族の意向を確認することから始めてください。

弔問してよいか、お悔やみをどう伝えたらよいか。

ご遺族が落ち着かれた頃に、お手紙を一通お送りするだけでも、お気持ちは十分に伝わります。

香典をめぐって、住職がお伝えしたいこと

50代の子世代

結局、香典って何のためにあるんでしょうか。

お坊さん

もとは、残されたご家族を皆で支える、助け合いの心なのです。

ここまで、辞退の伝え方や金額の目安など、実務的なことを中心にお話ししてきました。

最後に、僧侶として申し上げたいことを少しだけ書かせてください。

香典の本来の意味を表した概念図。中央に『香典=お金ではなく、心』という言葉を置き、それを囲むように『お悔やみの気持ち』『残された家族を支え合う相互扶助』『故人への手向け(もとは香やお米を持ち寄った)』の3つの要素を配置。下部に『辞退も受領も、遺族が穏やかに見送れる形を選べばよい』というメッセージを添えた、やわらかい印象の概念図
香典の本来の意味 — お金ではなく、支え合いの心

香典は、もともとお金ではありませんでした

地域の方々が、お香やお米を持ち寄って、葬儀を出すご家族を支えた——それが香典の始まりです。

突然の不幸で出費がかさむ家を、みんなで少しずつ支える。

その助け合いの心が、形を変えて今に続いているのです。

ですから、香典を受け取ることは、決して「お金を受け取る」恥ずかしいことではありません。

支えていただくことを、ありがたく受け取ってよいのです。

一方で、辞退することもまた、「これ以上どなたにもご負担をかけたくない」という、ご家族の優しさの表れです。

私は現場で、香典のやりとりで気持ちがすれ違ってしまったご家族を見てきました。

辞退したことでかえって心が軽くなったというご家族も、たくさんいらっしゃいます。

辞退も受領も、どちらが正しいということはありません

ご家族が、故人を穏やかに見送れる形を選んでいただければ、それでよいのです。

金額の多い少ないも、本質ではありません。

大切なのは、その奥にある「お悔やみの心」と「支え合いの心」です。

親が元気なうちに — 香典の方針を家族で話しておく

40代の長男

親と香典の話なんて、しにくいです…。

お坊さん

「もしものとき迷いたくないから」と切り出せば大丈夫です。

ここまで読んでくださって、「いざというとき、これだけ決めることがあるのか」と感じられたかもしれません。

だからこそ、親が元気なうちに、香典の方針を家族で少し話しておくことを、最後におすすめしたいのです。

親が元気なうちに家族で決めておきたい、香典まわりの3項目を示した確認リスト図。①香典を辞退するか受け取るか(本人の希望を聞いておく) ②訃報を伝える範囲(誰まで知らせるか) ③香典返しの担当(受け取る場合、誰が手配するか)。3項目をチェック欄つきのリスト形式で並べ、下部に『エンディングノートに書いておくと、いざというとき家族が迷わない』というメッセージを添えた図
親が元気なうちに決めておきたい、香典まわりの3項目

決めておきたい3つのこと

難しく考える必要はありません。次の3つを、なんとなくでも家族で共有できていれば十分です。

  • 香典を辞退するか受け取るか:本人の希望を一度聞いておく。「お返しが大変だから辞退してほしい」という方も多い
  • 訃報を伝える範囲:誰まで知らせるか。家族葬は範囲を絞るため、ここが決まっていると喪主が迷わない
  • 香典返しの担当:受け取る場合、四十九日後のお返しを誰が手配するか

これらは、エンディングノートに書いておいていただくと、いざというときご家族が迷いません。

切り出し方のコツ

「香典をどうするか」だけを単独で切り出すと、重い話になりがちです。

「もしものとき、家族が迷わないように」という入り口で、終活全体の話のなかに自然に含めてしまうのがコツです。

「葬儀はどうしたい」「お墓はどうしたい」という話の流れで、「香典はどう思う?」と尋ねれば、構えずに話せます。

本人の希望を聞いておくことは、残されるご家族にとって、何よりの備えになります。

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よくある質問

よくあるご質問

Q 家族葬では香典を辞退するのが普通ですか?
A

「普通」という決まりはありません。 家族葬でも、辞退されるご家庭と受け取られるご家庭の両方があり、どちらも一般的です。 大切なのは、ご家族で方針を先に決めて、訃報をお伝えする時点ではっきり伝えることです。 辞退・受領のどちらを選んでも間違いではありません。

Q 香典辞退は訃報にどう書けばいいですか?
A

「誠に勝手ながら、故人の遺志により、ご香典・ご供物・ご供花の儀は固くご辞退申し上げます。 皆様のお気持ちのみ、ありがたく頂戴いたします」という定型文が使いやすいです。 「故人の遺志により」と添えると、喪主の都合ではなく故人の願いとして伝わり、相手も受け入れやすくなります。 香典だけ辞退するのか、供花や供物もあわせて辞退するのかは、家族で決めてから書いてください。

Q 香典を辞退したのに、当日持参されたらどうすればいいですか?
A

まず受付で一度は丁重にお断りします。 それでも「どうしても」とおっしゃる場合は、お気持ちをありがたく頂戴してください。 その場で強く突き返すのは、相手のお気持ちを傷つけてしまうため避けます。 受け取った方は記録しておき、後日あらためてお返しをお送りします。 受付担当の方に、あらかじめこの流れをお願いしておくと安心です。

Q 家族葬の香典は、いくらが目安ですか?
A

故人との関係の近さと、包む方の年代でおおよそ決まります。 全国的な調査をもとにすると、自分の親は5万〜10万円、兄弟姉妹は3万〜5万円、祖父母やおじ・おばは1万〜3万円、友人・知人は5千〜1万円、職場関係は3千〜1万円が中心帯です。 あくまで幅のある目安で、地域や年代によって上下します。 家族葬は近しい方が中心のため、やや高めになりやすい傾向があります。

Q 香典返しは、いくらのものを返せばいいですか?
A

いただいた香典の3分の1から半分が目安で、これを「半返し」と呼びます。 たとえば1万円をいただいたら、3千円から5千円ほどの品をお返しします。 高額の香典をくださった親族には、すべてを半返しにすると気を遣わせてしまうため、3分の1程度に抑えることもあります。 品物はお茶・海苔・タオル・洗剤・品物を選べる贈り物などが定番で、四十九日法要のあと(忌明け)に挨拶状を添えてお送りします。

Q 会社に、家族葬と香典辞退をどう伝えればいいですか?
A

まず忌引き休暇の連絡は必ず必要です。 そのうえで「家族葬で執り行うため、弔問・香典・供花は辞退させていただきます」と理由を添えれば、会社の方も参列を前提とせず受け止めてくださいます。 なお、会社から支給される弔慰金は、香典とは別の制度上のお金です。 香典を辞退していても、弔慰金は受け取って差し支えありません。

Q 会社からの弔慰金は、香典を辞退していても受け取っていいですか?
A

はい、受け取って差し支えありません。 香典は個人から個人へのお悔やみのお気持ちであるのに対し、弔慰金は会社の制度として支給されるお金で、就業規則で金額が定められていることが多いものです。 性質がまったく違うため、香典を辞退していても弔慰金は別のものとしてお考えください。 税金の面でも一定の配慮がありますが、こまかな扱いはお勤め先や税務署にご確認ください。

Q 家族葬に呼ばれましたが、香典は持っていくべきですか?
A

訃報に「ご香典は辞退申し上げます」といった記載があれば、香典は用意しません。 喪主側が方針を示している証ですので、その意向を尊重するのが礼儀です。 記載がなければ、香典を用意していくのが基本です。 「辞退とは書いていないけれど不要かもしれない」と迷うときは、喪主や案内をくれた方に「ご香典はご用意したほうがよろしいでしょうか」とひと言確認して構いません。

Q 香典辞退と言われましたが、どうしても気持ちを伝えたいです
A

お悔やみの心を伝える方法は香典だけではありません。 弔電を送る、供花や供物を送る(辞退の対象に含まれていないか確認のうえで)、四十九日を過ぎた頃に連絡してから弔問する、お悔やみの手紙を送る、といった方法があります。 なお、辞退と明記されているのに香典を郵送するのは原則として控えてください。 喪主が辞退の方針を立てているのに、受け取らざるを得なくなり、お返しの手間まで生んでしまうためです。

Q 家族葬に呼ばれず、後から訃報を知りました。 香典は送るべきですか?
A

まずご遺族の意向を確認することから始めてください。 家族葬は参列の範囲を絞るため、後日に訃報を知ることはよくあります。 ご遺族が落ち着かれた頃に、弔問してよいか、お悔やみをどう伝えたらよいかをうかがいます。 辞退の意向がなければ、お手紙を添えて香典を郵送する方法もありますが、まずは確認を優先してください。 お悔やみの手紙を一通お送りするだけでも、お気持ちは十分に伝わります。

主な参考資料・出典

本記事の香典の金額の目安・香典返しの相場は、次の調査・資料を参考に、複数の情報を突き合わせて作成しています。

金額はいずれも全国的な目安であり、地域・年代・間柄によって幅があります。

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僧侶歴 10年以上 関わったご家族 数百件 終活・葬儀・墓じまい

終活・葬儀・お墓のこと、そして日々の整え方を、檀家さんと向き合ってきた経験からお伝えしています。聞きにくいことを正直に、難しいことをやわらかく。

※プロフィール画像は本人写真の代わりに、お坊さんを表すイラストを使用しています。記事内容は実体験に基づくものですが、ご相談者の特定を避けるため、地名・寺院名は伏せています。

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